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Photo by Naomi Baker - FIFA/FIFA via Getty Images

他者の危機から学ぶことと、その教訓を生かし、同じような状況を避けることは別の話だ。3日に公表された全米女子サッカーリーグ(NWSL)での虐待疑惑に関する報告書についても、同じことが言える。

女子サッカー界にはびこる「虐待文化」に憤慨したNWSLの選手たちは、1年前、こうした状況を改めるよう求めて、ピッチに立つのを拒否した。その後、サリー・イェーツ元米司法長官代行が主導してこの報告書をまとめた。調査では「長年、コーチらによる虐待の訴えが数多く寄せられ続けていたにもかかわらず、NWSLや米国サッカー連盟(USSF)の指導者や各チームのオーナー、幹部、コーチらはそれに対処してこなかったことがわかった」と、ニューヨーク・タイムズは報じている。

米国サッカー連盟のシンディ・パーロー・コーン会長は同日の声明で、今回の調査結果は長年にわたって女性プロ選手に対する虐待が野放しにされてきた環境を変えるための「最初の一歩」にすぎないとし、次のように述べている。

「不正行為や虐待は断じて許せるものでなく、ピッチの内外を問わず、サッカー界に居場所はない」「報告書では、わたしたちの競技のあらゆるレベルで組織全体を改めていく必要があるということが明確になったと思う」

繰り返される歴史


一方、性的虐待事件を専門とする弁護士のマーク・ルイスは電子メールで取材に答え、米国ではこれまで競泳連盟や体操連盟などほかの団体でも虐待が相次いできたことに触れ、「歴史が繰り返されるのは悲劇だ」とコメントした。

「良い面を言えば、(NWSLが)イェイツを起用し、彼女をトップに虐待文化の本格的な調査をさせたとみられる点は評価されるべきだろう。とはいえ、この報告書はあくまで始まりにすぎない。今後、NSWLは浄化を進め、虐待文化を撲滅するために具体的な措置を講じていく必要がある」(ルイス)

ジョージ・ワシントン大学メディア・公共問題大学院のピーター・ロージ准教授は「最も優れた組織とは、みずからの欠点を正直に認め、説明責任を果たす組織のことだ」とし、イェーツの報告書は「サッカー界はピッチでもピッチ内と同じルールに従う必要性を示した」と解説する。

「ピッチ上での危険な行為はコーチや審判によって罰せられる。ピッチ外での危険な行為も同様に罰せられるべきだ。ゲームにはルールがあり、参加者は全員、そのルールに従う必要がある」(ロージ)

シュミット&クラーク法律事務所のコリン・クラーク弁護士は「この危機を教訓に、ビジネスリーダーは、職場の安全を確保するために適切な措置をとるべきだ」と助言する。

「リーダーが従業員の幸福を優先して配慮してくれる環境なら、人々は安心感を得られるはずだ。もし深刻な不正行為の疑いがあるのであれば、適切かつ迅速に対処しなくてはならない。さらに、自分たちのビジネスカルチャーも一度よく見直してみる必要があるだろう。(従業員らの)身体や感情、心理面の安全が確保されているだろうかと」(クラーク)

「虐待がそれを促すようなカルチャーに根ざしている場合、被害者は沈黙を強いられるということも、ビジネスリーダーにはわかりきったことのはずだ」とクラークは指摘している。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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