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Writing about the overlap of science and art

Getty Images

ここ数年、管楽器がどのようにエアロゾル(空気中に液体または個体の微粒子が分散した状態)を拡散させているかを測定する研究が、いくつか行われてきた。そうした情報をもとに、演奏者同士が数時間にわたって非常に近くに座ったり立ったりすることが多いオーケストラやバンドのリハーサル向けのガイドラインが作られてきた。これまで、管楽器を演奏するミュージシャンは、他のミュージシャンよりも多くのエアロゾルを撒き散らすということは知られていたものの、新しい研究によれば、歌や大声で話すことによって撒き散らされるエアロゾルのレベルには到底およばないということが明らかになった。

ドイツのマックス・プランク力学・自己組織化研究所(MPIDS)のエバーハード・ボーデンシャッツとモーゼン・バガリの研究グループによって、新しく『Journal of Aerosol Science』に掲載された研究では、エアロゾルと管楽器に関する以前の研究の中で彼らが気づいたいくつかの矛盾を解決しようとした方法が述べられている。

懸念材料の1つは、たとえば既存の研究の多くが同じエアロゾル検出装置を使用しているのだが、この装置はあるサイズ以下のエアロゾルを検出できないことだった。また、管楽器から出る粒子は、演奏者のいる部屋の湿度や温度によって大きさが異なるため、これらの因子を一定に保つ必要があることにも気づいた。

ボーデンシャッツとバガリは、20種類の楽器を厳密に制御された部屋の中で演奏する、新しい研究を立ち上げた。彼らはさまざまな大きさのエアロゾルを測定し、ミュージシャンがエアロゾルを制限するたのベルカバーを使用しているかどうか、会場の観客がフェイスマスクを着用しているかどうかによってリスクがどう変わるかも考慮に入れた。これらの要素をすべて考慮するために、計算はかなり詳細に行われた。最終的に研究者は、音楽グループに関わる人にとって興味深いいくつかの新しい事柄を発見した。

バガリはMPIDSからの取材に対して「意外なことに、楽器は話したり歌ったりするよりもリスクが低いことがわかりました」と述べている。管楽器は、通常の呼吸よりはるかにエアロゾルが拡散するにもかかわらず、呼吸にともなう大きな飛沫の多くは楽器自身に捕捉され、あまり拡散しないのだ。しかし、小さいエアロゾルは外に出て、部屋の他の空気と混ざってしまう。これが理由で、音楽家が演奏する空間は、風通しをよくしておくことが大切なのだ。

また、研究者はマスクやベルカバーの装着の効果も調べたが、やはりそれらはエアロゾルの拡散を抑えることができることがわかった。もし、楽器と観客の両方が適切なベルカバーやマスクで保護されていれば、感染のリスクは0.2%(500人に1人)にまで下げられる可能性がある。

ボーデンシャッツはMPIDSに対し「十分な換気とFFP2マスクの着用によって、管楽器によるレッスンやリハーサル、コンサートを安全に行うことができます」と語っている。

特に複数の国で学校のバンドやオーケストラの秋学期に合わせて新型コロナ感染症感染の新しい波が押し寄せていることを考えると、これは大切なことだ。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

新型コロナ

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