<Forbes JAPAN定期購読会員の皆様へ> 決済システム変更にかかる決済情報再登録のお願い

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版


重要なのは、1時間目から4時間目までは指導教官がハンドルやブレーキの操作方法などを教えるという点だろう。教官が「1人で練習可能」と判断した場合、自動運転技術を活用したAI教習車での教習者単独での技能教習に移行するのだ。

ちなみに「道路交通法」などを学ぶ学科教習は、自動車学校でのリアルの教習でなく「DON!DON!ドライブ」アプリでリモートで行う。

リアルの学びの場でのAIの躍進、進むか


教官と教習生とはいえ、そこは人同士。相性もさまざまだから、「仕事以外の時間にまで対人ストレスを強いられるのは勘弁」といったむきには明るいニュースかもしれない。なによりも、指導教官のスケジュールの空きを事前に調べる必要がなく、乗りたいときに練習できるのも魅力だ。自動補助ブレーキシステム、ペダル踏み違えリスクへの対応など、「逆に人の指導員より安全?」も大きな利点の1つではありそうだ。

──古い話になるが、教習所指導教官をメインキャラクターにしたドラマに、2005年フジテレビ系「月9」の「スローダンス」がある。映画監督になる夢を胸に秘めた若き指導教官を好演したのは当時20代前半だった妻夫木聡だが、教習生として彼の車に乗り込んだ深津絵里と妻夫木との、狭い車内空間でのまさに「リアルな」絶妙なかけ合いが、地味ながら毎回の見せ場(聞かせどころ)だった。脚本の衛藤凛が各回、とくに腕によりをかけた場面だったろう。

筆者自身もかつて、路上教習で片道3車線の国道を右折する際にスピードを落としてしまい、助手席の指導教官に怒鳴られた恐怖の記憶がいまだに残っている。その分、同じ教官にほめられた時のうれしさも然りだ。

それら記憶のあれこれをたぐると、リアルがどんどん貴重になってきた時代を背景に、逆に「リアルでしか学べない場」からも生身の教師が消えていくことへの寂しさを、少しだけ感じずにはいられないこともたしかである。

文=石井節子

PICK UP

あなたにおすすめ