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温暖化、水害、熱波、干ばつといった気候関連のハザード(危険要素)は、人間の感染症を場合によっては58%も悪化させている――科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジで発表された科学文献レビューにより明らかになったこの事実は、気候変動が公衆衛生に及ぼす影響を浮き彫りにしている。

研究者らは、人間が罹患する375種類の感染症について、科学文献に含まれる事例を検証。そのうち218種類が、気候ハザードにより悪化していることを示す証拠をつかんだ。

10種類の気候ハザード(気温上昇、干ばつ、熱波、野火、豪雨、嵐、水害、海面上昇、海洋酸性化、人間による森林伐採などの土地被覆率の変化)の結果として、炭疽、コレラ、マラリア、ライム病、ウエストナイル熱、ジカウイルス感染症などの感染症が、一部のケースにおいて広まりやすくなっていることが、科学文献には記録されていた。

この研究によれば、干ばつや水害など、人々に移動を強いる結果として、人を病原体に近づけるハザードもあれば、病原体が人に近づきやすくなるハザードもあるという。後者の例としては、地球温暖化により病原体の拡散が容易になることなどが挙げられる。

この研究では、気候ハザードが健康に影響を与えたものとして3213事例が特定された。そうした事例のうち、223種類(78%)の感染症がもっぱら悪化していた。それに対して、もっぱら軽減されていた感染症は9種類あった。また、54種類(19%)は、一部のハザードにより悪化し、別のハザードにより軽減されていた。

単体の要因としてもっとも影響が大きかったのは気温上昇で、記録された事例において、160種類の感染症を悪化させていた。それに続く要因は、降水量(122種類)、水害(121種類)、干ばつ(81種類)、嵐(71種類)、土地被覆率の変化(61種類)だった。

感染症を拡散する病原体としてもっとも多かったのはウイルス(76種類)で、次いで細菌(69種類)、動物(45種類)、真菌(24種類)、原生生物(23種類)だった。

2022年2月28日に公開された、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による評価報告書では、最善のシナリオであっても、地球の平均気温は今後20年で摂氏1.5度上昇すると予想されている。また、気温が摂氏2度上昇すると、感染症の広がりがさらに加速するおそれがあるとも警告されている。

感染症は、気温の上昇に伴って広がりやすくなるが、それもある程度までであることも、研究で示唆されている。過剰な暑さにより、媒介動物や病原体が病気を拡散できなくなることもある。たとえばアフリカの一部地域では、極端な高温と干ばつにより、マラリアを媒介する蚊が弱る可能性もある。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

環境問題

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