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候補者に関する情報が限られ、不完全な面接アプローチをとる採用プロセスは、企業にとって常に難しいものだった。しかし、米国の労働市場が逼迫している現在、その難易度はさらに増している。マッキンゼーの最近の調査『Great Attrition(大規模離職)』によると、離職者の3分の1は再就職先が決まっていない状態で退職しているそうだ。このような離職率の高さは、人材市場に大きな変化が起きていることを反映している。労働者は企業により多くのことを要求し、それが得られない場合は自分の足で状況を変えようと動くようになっているのだ。

マッキンゼーが労働者に退職の理由と次の仕事に求めるものを尋ねたところ「目的」「良い同僚」「柔軟性」が最も多い回答だった。報酬は、職種を問わず平均賃金が上昇しているため、当たり前のものと見なされていた。また、特に上級職では、労働者が会社を変える際の負担も減少している。リモートワークやハイブリッドワークがより受け入れられるようになったことで、多くの労働者が仕事の選択肢を広げ、特に人材確保が困難な高収入の職種に就くことができるようになったのだ。

このような厳しい採用市場において、企業は自社の従業員の確保と育成をより重視する必要がある。新しいアプローチとして、労働者個人の視点から人的資本を再考することから始めることができる。マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)は、4つの主要経済圏(米国、英国、ドイツ、インド)における何百万もの実際の職歴と求人情報を調査し、人々がどのようにスキルを蓄積していくのかを検証した。その結果、世界的に見ると仕事で培ったスキルの価値は、平均的な人の生涯収入の約半分を占めていることがわかった。この割合は大卒でない労働者ほど高く、初任給が低いほど生涯所得のうち経験によるものが多くなる。この割合を「経験資本」と呼ぶが、戦略的に経験やスキルの幅を広げている人ほど、経験資本を増やして生涯所得を増やすことができるのだ。残りの部分は、各人が最初に労働市場にもたらした教育と固有の能力によるものである。例えば、医者や弁護士になるために必要な教育年数などだ。

今回の調査では転職、特に新しいポジションが自分のスキルを大幅に引き伸ばしてくれるような職に移ることで、より大きな経験資本を築き、生涯所得を増やすことができることが示された。戦略的な転職を行い、その過程で学ぶことは、低賃金の仕事からスタートした人が生涯を通じてより高い収入を得るための最良の、そしてしばしば唯一の戦略である。

翻訳=Akihito Mizukoshi

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