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個人主義の時代における会社とリーダーシップ

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「人間の生活がほんとの苦悩、地獄となるのは、二つの時代と二つの文化と宗教とが交差する場合にかぎるのです」

ヘルマン・ヘッセの「荒野の狼」の中にこんな一説がある。時代や宗教となると、一見リーダーシップとは関係のなさそうだが、現代のリーダーに求められる重要な要素が入っている。

多くのリーダーは、二つ、もしくは二つ以上の価値観の中でチームを率いている。シンプルに年代だけをとっても、一つのチームの中には昭和生まれと平成生まれが混在し、それぞれの価値観が混在している。ヒエラルキー型の組織であれ、ティール型の組織であれ、上下の人、同じ世代だけで成立しているチームは少ないだろう。

外資系企業やグローバルに事業展開する会社のリーダーであれば、日本と他国という二つ以上の文化が交差する中にある。私は、シンガポールにいたときは、17カ国籍のメンバーをリードしたことがあるが、日本人である自分と17カ国籍分の違いを理解することも苦しんだし、17カ国籍の人たちが連携しあうチームを作るのも苦労したのを覚えている。



時代とそれに紐づく価値観であれ、国籍であれ、はたまた別の違いの交差であっても、その中にいるリーダーが共通して意識すべきことは、次の3つといえる。

1. 自分らしさを見失わずに、違いに柔軟に対応できる自分であること
2. 違う時代の価値観や文化を持つ人同士をうまくつなげてチームを作ること
3. 違う時代の価値観や文化を理解し、リスペクトできる人を育てること

自分らしくいること(オーセンティックリーダーシップ)、自分なりの芯をもっていることは、リーダーの要件である。しかし、価値観や文化の交差点にいると、その違いの狭間に立ち、異なる意見のシャワーを浴び続ける中で、リーダーは何が正しいのかわからなくなるという苦しみに直面する。

すると周りの意見を聞き入れ、すべての意見の中間で、全員が納得できる範囲の“妥協した結論”に導いていくことになる。丸くは収まるが、ベストではなく、自分の中での納得感や達成感は薄い。そして、その徒労感の中で下した意思決定がもたらす結果を待つことになる。この苦しみの中では、ミッションやビジョン、パーパスも無意味になる。

文=西野雄介

リーダーシップ
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