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星のや富士 グラマラス富士登山

日本の山と言えば富士山だ。念願の世界遺産登録から今年で10年、国際的な観光名所としての価値を高めるべく、登山道や周辺エリアの整備も進んできた。この数年はコロナ禍で閉山や人数制限など影響を受けたが、今年は晴れてフル稼働の登山シーズンを迎えている。

登山すべてに共通するかもしれないが、こと富士登山においては特に、「登頂」がゴールで、そこで「御来光」を拝むことが最上のプランのように語られがちだ。しかし、装備不足や強行スケジュールによって体調を崩すケースも多く、登頂率が平均50%という実態もある。

そんななか、日本初のグランピングリゾート「星のや富士」では、ラグジュアリーで安心な登山をうたう「グラマラス富士登山」を開催。富士登山のプロフェッショナルが協力する限定プログラムは、参加費28万円(宿泊費別)という高額ながら、毎年完売しているという。

富士登山という「文化」に触れる


2泊3日のグラマラス富士登山は、富士山麓にある星のや富士へのチェックイン後、「御師」の家を訪ねるところから始まる。御師とは「御祈祷師」のことで、登山に挑む修行者や信仰者に宿泊や食事の世話するほか、神職に近い立場として、登山の無事を願う祈祷を行う存在だ。

グラマラス富士登山 で体験する牛王刷り
御師の家では「牛王刷り」を体験

1500年代に始まり、最盛期は江戸時代。車も電車もなく、100km以上離れた江戸から始まる富士登山は時間もお金もかかるため、各地の信仰者たちは「富士講」という団体を作り、資金を出し合い、交代で登山に訪れていたという。「多い日で1日100人が宿泊していました」と語るのは、「菊谷坊」17代目の秋山真一さん。菊谷坊は現存する13軒の御師のひとつだ。

「女性の登山は禁じられていたのですが、江戸時代に頭を丸め、男性を装って登頂した女性がいるんです。“高山タツ”さんと言うんですが、まさに名の通り。また、昔は水や食料を自分で持たず、荷物を背負って道案内をする“強力さん”を雇っていました。お金がかかるわけですよね」

歴史や文化を学んだ後、かつて登山者がお守りとして白装束に施していたという「牛王刷り」を体験し、登山道へと続く北口本宮冨士浅間神社に参拝。青々とした木々に囲まれた境内には、富士講の開祖・角行(1541-1646年)の史跡のほか、偉業とされる「33回登頂」や「雪中登山」を達成した人々の石碑が並んでいた。

取材・編集=鈴木奈央

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