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東京blank物語 vol.24

放送作家・脚本家の小山薫堂が経営する会員制ビストロ「blank」に、書家の中塚翠涛さんが訪れました。スペシャル対談第4回(前編)。


小山薫堂(以下、小山): 僕、中塚さんの書って本当に品があるなと思うんです。

中塚翠涛(以下、中塚): わ、光栄です。

小山:素人発言ですが、書にとって大切なのは上手に書くことではなく、その人っぽい字が書けることではないかと。字を見たときにその人の雰囲気がわかるとか、その人の顔が浮かんでくる。中塚さんの書はそんな文字だと感じていて。「書」に興味をもち始めたのはいつごろですか。

中塚:幼少期です。美術館によく連れていってもらったのですが、ジョアン・ミロやパウル・クレーの作品を見たときに、「これは色を使った書だ」と興味を持ったのを覚えています。大人になってスペインのミロ美術館を訪れた際、実はミロには来日経験があり、日本の書を学んでいたことを知って感激しました。

小山:つまり、中塚さんが感じとっていたことは間違っていなかった。

中塚:ええ。幼少期の私はそのカラー、カラフルな世界に憧れた。一方で、書道は墨一色のようでいて、青っぽい黒もあれば、赤っぽい黒、紫っぽい黒もある。それはすごく楽しく、魅力的な世界なんですよ。

小山:実は僕も小学生のころ、書道を習っていたんです。書道教室が毎週土曜日の午後にあって、「習うならお弁当をもっていってもいい」と。お弁当が食べたいがために習い始めたから、全然上達しないまま終わりましたが(笑)。中塚さんが「書家になろう」と決めたのはいつなんですか。

中塚:大学では中国文学科(現・書道学科)に通っていましたが、在学中にさまざまなジャンルの方々にお会いする機会があり、「ひとつのことを突き詰めるって素晴らしい。私だったら何だろう?」と考えるようになったんです。本当に好きなものは誰からも奪われないと思う。「これを知る者はこれを好むものに如(し)かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」という孔子の言葉がありますが、私の好きを追いかけ、心躍るものを探したい! と強く思うようになりました。

文=小山薫堂 写真=金 洋秀

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