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地域経済とソーシャルイノベーション

齋藤潤一、若佐慎一(右)

今年の6月、経済産業省に「アートと経済社会について考える研究会」が創設された。さらに「世界のアート市場規模約7兆円のうち、日本のアート市場は約4%にしか過ぎず、他産業と比しても決して大きいとはいえない。しかし、アートには、その市場規模だけでは計れない、経済社会へのポジティブな影響を与える力を持っている」という見解を示しているとおり、いまアートと経済の動向に注目が集まっている。

筆者もアートがもつ価値観や美意識、そしてアーティストの哲学や生き方に感銘を受け、大学生の頃から、世界各国の美術館やアーティストゆかりの地をバックパッカーで巡ってきた。

NFT(否代替性トークン)を使ったオークションで、アートが法外な値段で取引されるなど、新しいアートの価値観が生まれそうなこの時代に、clubhouseで偶然、現代アーティストの若佐慎一氏と話す機会があった。

若佐は、江戸時代以前の絵画様式である「大和絵」に現代性を加え、古くから受け継がれてきた日本独自のアートの価値を再提案している。

広島で9年間日本画を学んだ後に、龍や鳳凰、獅子や虎などの幻獣を題材にした作品を国内外の展覧会へ出品。リアルな体験の機会が多く失われてきたコロナ禍の2021年には、手仕事による創作の価値をファッションを通じて提案するブランドを落合陽一氏、串野真也氏と生み出すなど、枠にとらわれず活動の場を拡げている。

AIやテクノロジーの進化と共に、多様に変容し続ける現代社会において、アートの役割とはどのように変化するのか。若佐のアトリエを訪問し、「アートと経済社会」について聞いた。

美術業界でも次々起こる「進化」


──アートとは、言語を超えた人々の心を動かす「情動」であると僕は定義しているのですが、若佐さんはデジタルやテクノロジーの進化について、面白いなと思うことはありますか?

デジタルやテクノロジーの進化によって、さまざまな業界でイノベーションが起こっていますが、美術業界に於いてもそれは同じ。なかでもインターネットがもたらした変化は大きいのではないでしょうか。


若佐慎一

一人一人の世界を拡張し、情報伝達のスピードが急速に上がることで、情報の循環スピードも上がり、世界が均質化されていきました。

そしてSNSの登場で、アーティスト自身による制作や宣伝、販売がしやすくなり、それまで制作以外をギャラリーに頼っていた状況から大きく変わりました。InstagramやTwitterなどから、作品を見てくれた海外の方が購入してくださるといったケースも増えてきています。

文=齋藤潤一

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