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シネマ未来鏡

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日本では2018年に公開されたタイ映画「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」(本国での公開は前年)。大学入学のための国際的試験で高校生たちが敢行するカンニング計画を、スリリングなクライムストーリーに仕立て上げた会心作だった。

タイでは2017年の興収ランキングで第1位を獲得。海外でもニューヨーク・アジアン映画祭でオープニング作品に選ばれるなど、世界的にも高い評価を得た作品だ。日本でも単館系の劇場での上映だったにもかかわらず、熱いファンの支持を集め、公開初日から14回連続で満席を記録。タイ映画としては異例の興行成績を残している

この「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」を監督したのが、バンコク生まれのバズ・プーンピリヤ(映画公開時はナタウット・プーンピリヤ)だ。鏡を使ってヒロインを多重に映した冒頭から、圧倒的センスが光る鮮やかな映像で、若者たちの「犯罪ドラマ」を終始興味深く描いていた。

世界的巨匠からの声がけで始まる


突然現れた「アジアの才能」に注目したのが、香港映画の世界的巨匠ウォン・カーウァイ監督だった。「恋する惑星」(1994年)や「ブエノスアイレス」(1997年)、「花様年華」(2000年)などの作品で日本でも広く知られる。2007年にはジュード・ロウや歌手のノラ・ジョーンズなどをキャストに迎えた「マイ・ブルーベリー・ナイツ」という作品も発表している。

前出の「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」を観たカーウァイ監督は、この作品にいたく心を奪われ、すぐに「一緒に映画をつくらないか」とバズ・プーンピリヤ監督に声をかけたのだ。それまでカーウァイ監督とは面識もなかったプーンピリヤ監督は「嘘だろ?」と驚いたという。

「われわれフィルムメーカーにとっては、カーウァイ監督はアイドルのような存在だからね。でも、一緒につくらない理由は何もないし、彼にノーなんて言う人はいないよね」

こうしてスタートしたのが、今回の「プアン/友だちと呼ばせて」という作品だ。制作総指揮を務めたカーウァイ監督からは、企画を煮詰めていくうえで何度か重要なアドバイスがあったという。

カーウァイ監督から提示された当初のアイデアは「バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)ムービー」だった。しかし、脚本化するにあたって「ストーリーとしてうまくまとめることができなかった」とプーンピリヤ監督は語る。

文=稲垣伸寿

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