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Andrew Angelov / Shutterstock.com

ベルリン本拠の「Voypost」は、他のスタートアップ向けにデジタル製品を構築している小さなIT企業だ。同社の創業者であるNikita Sviridenkoはウクライナ出身で、チームの大半は現在も同国を拠点にしている。ロシアによる侵攻が始まったとき、社員たちは海外に移転する機会を与えられた。

「侵攻が始まって最初の数日は混乱状態で、社員たちはそれぞれが住む都市の状況を確認し合っていた。彼らの中には、イルピンやハリコフ、スームィ州のフルーヒウなど、戦闘の最前線にいる者がいて、一部はウクライナ西部に移動したが、そのまま残った者もいた」とSviridenkoは話す。

同社によると、国外に逃れた社員は1人もいなかったという。それどころか、彼らの多くのは、教育費や遊興費をウクライナ軍に寄付し、戦時下でも職務を遂行することを決意したという。

Voypostの経営陣は、緊急事態への対処法を少しずつ見出していった。「我々は、社員が戦争に対処できるよう、心理学者によるセッションを開催し、緊急事態が生じた場合には、他のスタッフに業務を引き継ぐなど、チームの構造を入れ替えられるようにした」とSviridenkoは話す。

同社は、全ての社員をウクライナ国内の安全な地域に移動させ、現在はリモートで状況を確認しているという。戦火が激しくなる中でも同社は事業を成長させ、32名を新たに採用した。

Voypostの事例は、決して特殊なものではない。6月上旬には、Yコンビネータが支援するデジタルデザインのスタートアップ「Awesomic」の創業者であるRoman SevastとStacy Pavlyshynaが、社員をウクライナ全土から避難させながら、事業を成長させた経緯をブログ上で公開した。彼らは動画も制作し、Yコンビネータの公式ユーチューブアカウントで公開した。



Awesomicは、社員の安全を確保するためには、どんな苦労も惜しまなかったという。同社の社員の3分の2は女性だが、ロシア軍に占領された都市に住む女性社員は特に大きなリスクにさらされた。「レイプの危険があるため、数週間も地下に隠れていた社員もいる。こうした恐ろしい状況にありながらも、彼女たちは仕事を続けていた」と同社の創業メンバーは語った。

同社では、168名の社員全員を安全な場所に移転させて事業を存続させ、再び成長路線へ戻るために約1カ月を要したという。その後、同社は慈善基金「Come Back Alive」に3万5000ドルを寄付した他、ウクライナ軍に496着の防弾ベストを寄贈したり、ウクライナの慈善団体に5万ドルの助成金を提供した。

編集=上田裕資

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