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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

深井厚志(左)と杉山 央(右)

理想を掲げるのがアートだとすれば、現実と折り合いをつけながら実装に漕ぎ着けるのは、ビジネスが得意とすること。その意味で、アートとビジネスは両輪なのである──。

これは、Forbes JAPANが2022年春に発売した別冊「ART AS AN ATTITUDE アート・ドリブンな未来入門」にあるメッセージだ。アートとビジネスの特集も少なくない中、同誌は、 “アーティストが世界と向き合う姿勢”に注目し、企業がアートやアーティストと革新を起こした事例、社会経済との新たな関わりをつくり出した取り組みを紹介している。

さまざまある「アート×ビジネス」のなかでも、身近な例が「街」だろう。特に最近は、アートへの関心の高まりとともに、それらを街のコンテンツとする動きも増えている。観光や集客はイメージしやすいが、街においてアートは、それ以上にどんな意味を持つのだろうか。

別冊でアドバイザーをつとめた森ビルの杉山 央と、有楽町エリアの開発に携わる編集者・コンサルタントの深井厚志に聞いた。モデレータは、別冊の監修を務めたアーツ・アンド・ブランズ代表の笠間健太郎。

──まず、深井さんにお伺いします。アートとビジネスというテーマに関わることになった経緯を教えてください。

深井:大学卒業後、7年ほど美術雑誌の編集者を経たのち、前澤友作さんが設立した現代芸術振興財団へと席を移しました。前者では「アートと読者をつなぐ・アートと世の中を繋ぐ」、後者では「アートをひとつの触媒に前澤さんのビジョンと世の中を繋ぐ」という意識で活動してきました。

その中で、アーティストや美術館が持つ本質的な力、パトロンの爆発的な推進力などにも価値を感じつつも、日本のアートシーンにおいては「企業が重要なファクターな一つである」と考えるようになったんです。

米国は個人の富豪や篤志家、欧州は行政やインスティチューションが強いのですが、日本はどちらも弱い。日本の文化史を紐解いていくと、古くは資産を持つ旦那衆が、戦後、特に高度経済成長期からは企業が、常に文化を支えてきたんです。

その考えのもと、現在は、井上ビジネスコンサルタンツに籍を置いて企業案件に取り組んだり、産官学×文化芸術のプラットフォームを掲げる財団、カルチャー・ヴィジョン・ジャパンとして活動するなど、アートとビジネスを繋ぐ仕事をしています。

──別冊のコラムでも「アート×ビジネスは日本のお家芸ではないか」と書かれていますが、その辺りをもう少し詳しく教えていただけますか?

深井:三大財閥系美術館はもちろんのこと、例えば五島美術館(東急グループ)や根津美術館(東武鉄道)も、素晴らしいコレクションを保有しています。サントリー美術館やポーラ美術館など、企業名を冠した美術館も日本全国にありますが、これはこの国独自の現象で面白い。企業や経営者が文化を支えるというのが、当然のように日本にありました。

それが高度経済成長期になり、“サラリーマン社長”が出てきたときに事情が少し異なります。文化にお金を使うのに、コーポレートとしてのロジックが求められるようになるわけです。

そこからメセナやCSR、昨今だとSDGsのような考え方も導入されていくわけですが、それでも、1970年代頃のセゾンや資生堂、近年だとベネッセや森ビルなど、経営者の文化に対する深い理解と企業としてのプライド、そしてビジネスのビジョンを紐付けて展開していった例はたくさんあります。

文=堤美佳子 ポートレート=小田駿一 編集=鈴木奈央

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