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「遊び」で変わる地域とくらし

世代、国籍、地域住民、観光客、すべての人が分け隔てなく楽しむ「お祭りの夜」を表現したSEKAI HOTELのビジョンアート

近年の社会課題のひとつに空き家の増加がある。2018年の総務省調査によると全国の空き家数は約850万戸、全住宅の7戸に1戸が空き家という状況だ。2033年頃には、全住宅の3戸に1戸が空き家になるという予測まである。

この空き家問題の解決策として、建物のリノベーションが盛んだ。長年使われていない古民家や空き店舗の再活用を考えるものだ。カフェ、雑貨屋、コワーキングスペース、ゲストハウスを1軒ずつリノベーションして新しい息吹を吹き込むケースが多い。

そんななか、空き店舗を「点」ではなく「面」として、エリア全体で捉える取組みが生まれている。なかでも注目されているのが、大阪府にある宿泊施設「SEKAI HOTEL」だ。SEKAI HOTELは、大阪府東大阪市の布施にある、フロント、客室、飲食、大浴場の機能を、街全体に分散させた「まちごとホテル」である。

大阪市北区を拠点にリノベーションに取り組むクジラを親会社に持つ、SEKAI HOTELが2017年からこの事業を開始した。全国に増えつつある空き家を、課題ではなく資産として捉えられるような新しいビジネスモデルだ。

空き家を「面」で捉えてホテルをつくる


2012年にこのモデルを構想したのは、代表の矢野浩一。当時、特定のテーマやコンセプトで情報をひとまとめにして発信するキュレーションメディアが増えていた時期だった。矢野は発想の原点を次のように語る。

「なぜ不動産業界ではバラバラにあるものを1つのブランドにまとめられないのだろう。そこから増える空き家を、エリア内で同じコンセプトの宿泊施設として運営することを思いつきました」


フロントから商店街を歩くこと数分。商店街の空き店舗を改装して客室としている

2017年、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)からもアクセスが良い大阪市此花区西九条の「住宅地」で複数の長屋を改修し、1号店を開始(現在は営業を自粛中)。当時、矢野は友人と一緒に日本のさまざまな場所に出かけ、テントを張って寝る遊びを世界中どこでもホテルになるということから「SEKAI HOTEL」と呼んでいた。その発想を借りてそのまま事業の名前とした。

文=内田有映、取材協力・写真提供=SEKAI HOTEL Inc.(矢野浩一、久米佑宜)

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