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SKYTREK 代表取締役社長 永堀敬太

SKYTREKは日本の地方・都市間をオンデマンドで自由に移動するための移動インフラ提供に取り組む、“空のベンチャー企業”である。メンバー制サービスでビジネスジェットを飛ばすという、胸躍るビジネスモデルが誕生した背景と、この先に広がる大きな可能性について話を聞いた。



──SKYTREKは、航空機のメンバー制チャーターサービスを提供するというユニークなビジネスモデルを打ち出していますが、永堀さんはもともと空への憧れがあったのでしょうか? これまでの職歴をお聞かせ願えますか?

大学を出て、最初に就職した先はイー・アクセス(携帯事業はイー・モバイル)という会社で、携帯電話事業をインフラから立ち上げる仕事に従事しました。家電量販店に携帯を置いてもらったり、土日はアンテナを立てるために分譲マンションの理事会に出たり、とにかくなんでもやったという修行の5年間でしたね。

そのうちに、気がつけば会社は一部上場して、組織もどんどん大きくなっていました。でもその分、自分の業務内容は日に日に狭くなってきて、そろそろ違うことにチャレンジしたくなっていたんですね。金融についても勉強してみたいなと思っていたら、たまたまみずほ銀行で中途採用の話があり、運よく入れてもらえました。

法人営業担当として6年ほど在籍したのですが、そこでまた転職を経験します。広島支店に転勤してから、せとうちトレーディングス(のちに「せとうちホールディングス」に社名変更)のファイナンス事業をお手伝いしていたのですが、それがご縁で自分も「せとうちホールディングス」に入社することになったんです。「子どもの頃から大空に憧れていた」といったようなドラマティックな物語がなくてお恥ずかしいのですが、転職をきっかけにSKYTREK事業の立ち上げに携わり、代表取締役社長に就任したのが始まりとなります。

──航空事業に携わるきっかけは、いわば偶然の出合いであったというわけですね。



きっかけはそうなんです。でもあえて言うなら、僕はお腹がとてつもなく弱く、公共交通機関がもともと苦手で。何かストレスなく移動するための手段がないものか──というのは常々思っていたことではありました。

誰もがストレスなく快適に、かつあっという間にスムーズに移動するという理想を考えた時、プライベートジェットというのは完璧な答えのように思えました。飛行機に乗って遠くに移動するという時、普通だったらまず電車かタクシーで空港に行き、面倒な搭乗手続きがあり、荷物検査があって、搭乗口でバスを待たされて──、とストレスフルなシーンと不毛な時間が続くものですが、そういう動線がプライベートジェットではほぼ皆無に等しいわけです。

ゴールデンウィークであろうと夏休みであろうと、基本的には会う必要のない人には誰にも会うことなく、完璧なプライバシーが保たれたまま、快適かつスピーディーに移動できる。その価値は、コロナ禍に見舞われてから安全性の意味でもさらに高くなりました。新しい時代の移動手段としては世界的にも注目されていて、旅の体験としてもスペシャルで有意義なものになると思っています。

──そんな飛行機をチャーターで使うというビジネスモデルを立ち上げたのが、広島県尾道の会社「せとうちホールディングス」に勤めていた時だったのですね?

そうです。地元貢献、町おこしのために、飛行機会社を買収して水上飛行機で瀬戸内海の遊覧飛行をしようと考えたのが始まりでした。そもそも入社したきっかけも、尾道の町おこしのための施設をつくるというところに、私が金融機関側の人間としてファイナンスを担当したことでしたから。


これまでなかった「地方の人が他の地方を訪れる」ための
空の交通インフラをつくる



© 2020 Fuji Business Jet Co., Ltd. All Rights Reserved.

──そこから親会社を離れた後、数年を経て永堀社長が事業買い取りしてさらに進化させたSKYTREKですが、先ほどおっしゃられたように、新しい旅のスタイルとしてまさにいいことづくめというわけですね。

「時は金なり」という方たちにとっては、間違いなく理想的な移動手段と言えるでしょう。自分だけの時間で、自分の望むルートで旅をするという価値は、本来であればもっともっと日本でも浸透していて然るべきものだと思っています。

──それを可能にするための、今日訪ねた静岡空港のような、普段あまり我々が利用することのない空港や飛行場が、実は国内にはたくさんあるのですね。

日本全国に90弱くらいあって、しかもそのほとんどが1日にわずか3、4便の発着でしか使われていませんから、そこを利用しない手はなかった。

それから地方の観光を考えた時、誘客施策というのは交通インフラありきなんですね。例えば青森でいえば、ほとんどが東京方面からの観光客で、一部が札幌からとなっています。

日本の交通インフラにおいては、驚くべきことに「地方の人が他の地方を訪れる」という考え方が根本的に定着していないんです。そこがもう少し、地方に住む誰もが東京や大阪を経由することなく、ダイレクトに好きなところに行けるようになってくると、顧客層としての観光客の属性もぐんと広がってくるはずです。

そのためにも、現在のプライベートジェットの値段はまだまだ富裕層向けの価格帯でしかないという問題はありますが、彼らがもっと我々のチャーターサービスを利用してくれるようになると、地方経済をブーストする効果としても非常に価値があるのではないでしょうか。

個人的には地方空港を訪ねる機会が多いので、知っているようでまだ知らなかった日本を、この事業を通じて勉強させてもらっています。そこは役得というか、自分の中で楽しみやモチベーションになっている部分でもありますね。


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──SKYTREKを使うと、ビジネス目線とプライベート目線それぞれでどんな可能性が広がるのでしょうか?

ビジネス面で言えば、好きな時間に好きな空港から行きたい空港へ飛べるということで、商圏が俄然広がってきます。東京に住んでいれば、発達した公共交通機関の恩恵を受けられるでしょうが、問題は地方から地方への移動です。商談という利用の仕方でも、SKYTREKを使えば行ける訪問先が全国津々浦々に広がるわけですから、可能性は無限大です。

日本ではまだ、ビジネスジェットに乗っていると言うと、残念ながらちょっと成金的な見方をされるような偏見がありますが、海外ではビジネスの効率を向上させるための移動手段として普通に使われていますし、実際にアメリカでは去年、チャーターの利用件数が過去最高を記録しました。ビジネスジェット機自体のニーズも高まっていて、中古機も含めて需要に在庫が追いついていないくらいなんです。ところがそうしたなかで、日本だけが取り残されているという現状は由々しき問題なんです。


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──日本の状況は、今後変わっていくのでしょうか?

ビジネスジェットの販売台数やチャーターの便数は、分かりやすく景気と正比例しているものなんです。去年もコロナで、さまざまな産業がダメージを受けましたが、株価においては上向いているという状況がありますよね。資本市場が活性化してくると、ビジネスジェットの需要も高まってくる。その背景には、資本市場で蓄えられた資金がより安全に快適に移動するために使われるという普遍的な動向があります。株式市場に目を向けると、日本も基本はアメリカと連動しているところが大きいので、中長期的に見ると必ず上向いてくるものと予測しています。

SKYTREK、そして日本が抱える課題とは


──ビジネスジェットの上手なチャーター利用の例があれば教えていただけますか?

東日本大震災の後、新幹線が長らく止まっていましたよね。その時は、多くの問合せとご利用をいただきました。既存のインフラが止まった時の代替手段としての価値もあるわけです。



プライベートでの利用例では、お子さんがまだ小さくて周りに迷惑をかけてしまうから、という理由でご利用くださるお客様もいらっしゃいます。チャーター機はまさにプライベート空間ですから、余計にお金がかかっても快適性を優先する、という考え方ですね。小型犬であれば、ご家族と一緒に乗っていただけます。

──日本でなかなか浸透しないのには、どんな理由があるのでしょうか?

法規制がネックになっているところが大きいですね。航空法で言えばビジネスジェットもエアラインも一緒なのですが、運用の規模、つまり乗せるお客様の人数はまるで違いますよね。ところが、チャーター機に同じだけの対応スタッフの人数を求められると、固定費の水準が高くなってしまいます。もう少し臨機応変でフレキシブルな、新しい規制ラインを別途設けてくれるとありがたいのですが。

それと関連して、価格の問題もあります。相場で、アメリカの同型機種をチャーターする際の倍くらいの金額になっているからです。単純に母数が少ないのと、先述した過度に厳しいルールの中で運用していかなければならないので、実際に飛行機を飛ばすための固定費が非常に高くなっています。そういう構造的な問題があり、なかなかフライトあたりの金額が100万円を切るのが難しいという現状があるんです。

100万円の壁を越えられれば、家族旅行にも使ってもらえるでしょうし、エグゼクティヴでなくても出張に使ってもらえる範疇となるはずです。法規制をもう少し海外並みに緩めていただきながら、我々のほうでは少しずつボリュームをつくっていって、価格を抑えていくというのが一番の課題かなと思っています。

──必要なのは行政への働きかけと、利用者の母数を増やしていくことなのですね?

どうしても今はまだ、富裕層向けのビジネスとして捉えられがちなのですが、もう少しいろいろな人たちがいろいろな用途で乗れる空のインフラとして確立させたいという想いがあるんです。

次のステップとしては、航空機の業界でも電力で飛ばすeVTOL(電動垂直離着陸機)の分野が注目されています。サステナビリティを高めるという意味でも、またランニングコストを下げる意味でも、我々もeVTOLにも注目しています。

空から俯瞰することで見えてくる
日本の地方の新たな魅力と可能性




──永堀さん自身、SKYTREKで飛んでこんな楽しみ方をしたというような例はありますか?

例えば島根県松江市などは、アクセス手段がほぼ羽田便しかありません。関西の人にとっては、一度わざわざ東京に出てからでないと行きようがないという不便さなんです。

ところがあの辺りは、ごはんがとても美味しい。そこらの居酒屋に入っても「なんだこれは!?」と驚いてしまうようなレベルの美味しいものがいっぱいあるんです。

個人的にはそこが一番の楽しみになっているのですが、日本の地方の空港に行って、地元の居酒屋にふらりと入る。すると、だいたい隣の席のおじいちゃんや大将が話しかけてくるわけです。昔はこうだったといったような、歴史にまつわる話を聞きながら地元のお酒を飲むというのが、何より楽しいですね。

──いいですね。しかもそこに、スマートにSKYTREKで飛んでいくというのが粋ですね。

実は「ブラタモリ」のファンで。SKYTREKだと、現地に至るまでの道のりを上空から眺められるので、地形や地質学、位置関係などについての情報を自分の目で見てインプットできるんです。

その後に、実際に町で人に会って話を聞くと、合点がいくというのがあります。そして思うんです、これはまるで“一人ブラタモリ”だと(笑)。



──SKYTREKのフライトと、地方の魅力的なホテルステイを結びつけたタイアップ企画がありますね。これまで、例えば松本市の「明神館」や屋久島のホテル「サンカラ」などがありましたが、新しいものではどんなところがあるのでしょうか?

例えば、富山県高岡市の「金ノ三寸」という宿があります。宿の魅力は泊まっていただいてからのお楽しみとして、高岡市では宿の外でもディープな日本文化体験が待っているんです。

高岡というのは銅器や錫器で有名な工芸の町ですが、富山藩主であった前田家の影響を色濃く残す文化が、いまなお人々の暮らしに息づいているんです。例えばお茶が浸透していて、今日でも富山県の茶道人口は全国2位となっています。三代藩主・利常が裏千家の四代・仙叟宗室を招いたことで、武士のみならず町人の間にも茶道が広まっていったんですね。

そうした歴史と文化に紐づいた魅力ある都市が、日本には全国各地にあります。そんな日本の魅力を再発掘するようなコンテンツも、我々の事業を通して日本人だけでなく海外からの利用者に対しても発信していけたらと思います。

──魅力的な行き先があっての、移動手段としてのSKYTREKということですね。

ビジネスも含めて、使い方が多くあることで、目指しているような移動インフラとしての姿に近づいていけるのではないかと思っています。



──仕事以外でお好きなことはなんでしょうか?

トレッキングでしょうか。さっきの「ブラタモリ」の話にも重なりますが、古道を歩くのが好きなんです。木曽路とも呼ばれる中山道がいいですね。中山道には馬籠宿、妻籠宿といった古い宿場町があります。昔の人はここをどんなふうに歩いていたのかなとか、木曾義仲もここにいたのか、といったことを想像しながら歩くのが楽しいんです。

ほかにも、会津街道を歩きながら戊辰戦争の時代に思いを馳せたり、途中道が整備されていないところでは、ちょっと遭難しかけたり(笑)。キャンプも好きなので、今度はビバークするかもしれません。

小型飛行機でしか行けないForbesアイランドをつくりたい


──SKYTREK&キャンプ体験も含めて、Forbes JAPAN SALONでやってみたいことはなんでしょうか?

例えばどこかの離島をメンバー同士で共同購入して、Forbesアイランドをつくれたら面白くありませんか? そこはプライベートジェットでしか行けないような場所なんです。

──それはロマンがあって素敵ですね。

何もなかった場所に、町や文化をつくっていくというのはすごく楽しい経験になると思います。例えばフィリピンにはアマンプロという小型機しか降り立てないリゾートアイランドがありますし、モルディブにも水上飛行機でしか行けないリゾートがありますよね。アクセスをあえてチャーター機に限定して、メンバーだけのためのプライべートアイランドをつくってみたいですね。みんなでワイワイやりながら空を飛ぶ、そんなひと時も、最高の思い出になります。


© 2020 Fuji Business Jet Co., Ltd. All Rights Reserved.

──最後に、メッセージをひと言お願いいたします。



まずは一度、SKYTREKに乗る体験をしていただきたい。プライベートジェットというのは、間違いなく日本が発展していくうえでこれから必要なインフラなんです。そこを、事業を通じて世の中に伝えるというのが我々の役目だと思っています。お手軽に試していただけるように、最近「EmptyLeg」という新サービスを始めました。タクシーで言うと回送区間。乗客なしで飛行しているフライト区間を、SKYTREKプラットフォームを通して特価で会員様にご提供しようというものです。サステナビリティの観点からも注目されるものですので、ぜひ一度ご検討いただけたら嬉しいですね。


ながほり・けいた◎株式会社SKYTREK代表取締役社長。1980年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、イー・アクセス株式会社に入社。2009年に株式会社みずほ銀行に転職し6年間の在籍を経て、株式会社せとうちトレーディングス入社(同年 株式会社せとうちホールディングスへ社名変更)、SKYTREK代表取締役社長に就任。

Promoted by Forbes JAPAN SALON / interview & text by Shigekazu Ohno(lefthands) / photographs by Takao Ota

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