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中道:日本酒をしっかり知ってもらいたいと始めたものですか?

生駒:そうですね。僕は、「消費者が何を望んでいるか」を大事にしています。それは、僕自身が日本酒に関して初心者だったからでもあります。一人の消費者として、「自分が欲しいものは何か」という考えから始めることで、大きい市場にアプローチできるのではないかと考えています。

当時は、「どんなお酒があるんだろう」「誰が作っているんだろう」「どうやって飲めばいいんだろう」ということ以外にも、たとえば新宿でおすすめの日本酒居酒屋を調べようと思ったとき、受け皿になるプラットフォームがありませんでした。

中道:確かにそうですね。

生駒:そのプラットフォームを僕自身が作ることで、同じような課題を抱えている日本酒の0→1を1→10、10→100に育てていける媒体にしたいと始めました。

中道:『SAKETIMES』を始めて、ここまでを振り返るといかがですか。

生駒:想像以上に多くの方に読んでいただけていると思います。先ほど消費者のためにと言いましたが、蓋を開けてみたときに、業界の人たちが「待ってました!」と言ってくれたのは印象的でした。

商品のスペックだけでなくストーリーも語り、自分の思いを伝えてファンを作りたいという人が多かった。とはいえ、酒蔵は誰もが自分たちでホームページを作れるわけでも、SNSの運用がうまいわけでもありません。そこで、僕らが取材することで、魅力や思いの言語化を助けたり、それを『SAKETIMES』で代弁する形を作れたのは、想像していなかった手応えでした。



中道:酒蔵は、「いい酒を作る」ことにフォーカスし、それを「伝える」ところは、二の次というイメージがあります。

生駒:もちろん例外はありますが、そのイメージは概ね間違っていません。ただ、それは、酒蔵があり、卸があり、小売があり、酒屋や飲食店があるという流通構造によるものです。これまでも、伝えたり売ることはサプライチェーンにおける小売や飲食店が担ってきて、酒蔵はBtoC的に売ったり伝えたりする機能を持たなくても問題がありませんでした。

ただ、ECが普及し、酒屋自体の売り上げや酒屋の数が減っていくなかで、伝えるプロセスがサプライチェーンだけでは成立しなくなりました。その過渡期に僕らのメディアが生まれ、今まで酒屋や飲食店が担ってきた部分にハマったのだと思います。

中道:様々な蔵や日本酒をフィーチャーしていく中、『SAKE HUNDRED』という日本酒ブランドを作ろうと思ったきっかけはありましたか。

生駒:自分の好きな日本酒を自分で売り、市場規模を大きくしていく手応えが欲しかったというのが根本にあります。メディアもすごく面白いのですが、基本的には紹介や応援という立場。会社としても、第一線で自分たちが新しい市場を作っていくべきだと考えていました。

『SAKETIMES』の取材では全国を回り、売上が数百億円を超える大きい酒蔵から、家族数人による小さな蔵にも行きます。最先端の技術もあれば、伝統的な技術もあり、経済的に野心を持つ蔵もあれば、好きな人に飲んでもらえばいいという蔵もある。この経験から得た膨大なインプットは世界でも珍しいもので、やはり日本酒はすごいとも思わされました。

文=小谷紘友 編集=鈴木奈央 文中画像=Clear提供

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