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インフレにより米国人の購買力が低下しているにもかかわらず、米ドルは今年驚異的な上昇を記録している。海外に出かけるアメリカ人にとっては良いニュースだが、モルガン・スタンレーは7月11日、ドル高が米国企業の海外事業の収益にダメージを与え、その結果株価が下落すると警告した。

米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げによって株価が下落した一方で、主要6通貨に対するドルの価値を示すドルインデックスは過去1年間で16%上昇した。

JPモルガンのマイケル・ウィルソンは、ドル高が売上の約30%を海外で稼ぐ米国企業の収益を圧迫するとと指摘し、年間ベースでドルが1パーセントポイント上昇するごとに、S&P500の収益の伸びは平均0.5パーセントポイントの打撃を受けると試算した。つまり、過去1年のドル高により約8%のマイナスが生じたことになる。

景気後退への懸念が高まる中で、今年の業績予想はまだ引き下げられてはいないが、モルガン・スタンレーは、今後の数四半期にわたり企業が予想を引き下げ、S&P500が3400ポイントまで下落し、現在の3900ポイント近い水準から14%程度下降する可能性があると予想した。

資産運用会社のブラックロックも、現状の業績予想が「楽観的すぎる」と警告し、FRBの利上げが成長を減速させると述べている。

ドルの上昇により、1年前は1.18ドルだったユーロの価値は、20年ぶりの低水準である約1ドルまで下がっている。

「歴史的な観点から見ると、今回の弱気相場はまだ半分くらいに差し掛かったところかもしれない」と、JPモルガンのウィルソンは11日に述べ、過去の弱気相場の期間の中央値が12カ月だったと指摘した。「株式投資家にとって重要なのは、このドル高が、今後の数四半期の業績を引き下げる追加の要因となり得ることだ」と彼は述べている。

今週から大手銀行は第2四半期の決算シーズンを迎え、JPモルガンとモルガン・スタンレーは14日に、ブラックロックとウェルズ・ファーゴは15日に決算発表を予定している。ドル高が逆風となるなか、ウィルソンは、今回の決算が「今後数週間の株式市場にとってネガティブなカタリストとなるはずだ」と述べている。

米商務省が6月29日に発表した第1四半期の実質国内総生産(GDP)確定値は年率換算で前期比1.6%減となり、コロナ禍からの回復過程で最も低い伸びとなった。株価はここ数週間で5%ほど上昇したが、それでもS&P500種指数は年初から20%近く下落し、ハイテク株比率の高いナスダックは28%急落している。

編集=上田裕資

モルガン・スタンレー

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