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I write about how disruptive technologies reshape global commerce

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小売業界で、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といったバーチャル技術を活用してブランド認知向上や販売促進を図る動きが活発だ。こうした取り組みによってデジタルの限界を押し広げようとしている3社の例を紹介したい。

アイウェア販売のディスラプター(創造的破壊者)である米ワービー・パーカーは昨年、新たに視力検査アプリ「Virtual Vision Test」を開発した。

このアプリを使うと、顧客はわざわざ店舗を訪れなくても視力検査を済ませられる。スマートフォンを用いて自宅などで検査を受けると、2日後に結果が出て、問題がなければ15ドル(約2050円)で処方箋を更新してもらえる仕組みだ。

米国ではコンタクトレンズの購入には処方箋が必要になる。そのため小売店側はこれまで、店舗での検査を入り口にして販売を伸ばそうとしてきた。ワービー・パーカーのアプリは検査という部分もデジタルで代替するもの。これによりアイウェア販売の取引の大部分はオンラインに移り、実店舗ベースの販売チャンネルはさらに破壊されるとみられる。

スウェーデンのアパレル大手ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)は昨年4月、任天堂の人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」内に、サステナブル(持続可能)なファッションの促進を目的として「Looop Island」という島をつくった。ユーザーは「Looop」というリサイクルステーションで、ゲーム内で着る服を新しい服にリサイクルできる。

H&Mはその後、動物由来の素材を使わないヴィーガンコレクション「Co-Exist Story」も発表し、Looop Islandも動物のサンクチュアリに衣替えした。

ゲームはとくに若年世代に好まれる娯楽になっている。サステナビリティーも、引き続き高い関心を集めているテーマだ。H&Mはあつ森とのコラボレーションを通じて、自社の環境面の取り組みについて広く知ってもらったり、ゲーム愛好者たちに対して環境に優しいファッションへの理解を深めてもらったりしている。さらに、消費者を新たなプラットフォームに引き込んでもいる。

韓国のコンビニチェーンのCUは、アジア最大規模のメタバース「ZEPETO」にデジタル店舗を出店した。ユーザーはメタバース内でイベントに参加したり、デジタル通貨でバーチャル製品を購入したりできる。CUのデジタル店舗はコンサートステージも備え、ユーザーたちの交流の場を提供している。

メタバースはこのところニュースをにぎわせているが、まだ誕生して間もないものだ。今後、参加する消費者が増えるにつれて、用途はさらに広がっていくだろう。

CUのデジタルコンビニは、実店舗主体の小売業者がバーチャルプラットフォームを通じてブランド認知を高め、顧客を集めていく好例になりそうだ。

コロナ禍後の買い物客は、実店舗やネット通販といった複数の販売チャンネルがよりよく統合され、シームレスに利用できるような技術進歩を求めることになるだろう。こうした要望を満たせるような新たな事業モデルや適切な技術を導入した企業は、ライバルに一歩先んじることができるに違いない。

編集=江戸伸禎

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