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中小企業のチカラ 代表取締役社長 山下佳介

コロナ禍で多くの中小企業が経営への悩みを深めている。中小企業にターゲットを絞り、マーケティング支援などの多面的なサポートを行なっているのが、中小企業のチカラだ。

同社の中心となる「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」は、参加企業に対して、独自の「Assist」「Action」「Award」を提供する事業だ。2021年1月の開始から1年半あまりで参画企業が500社に達し、多くの中小企業を支援する一大事業へと急成長している。立ち上げの背景や中小企業への想い、将来構想について代表取締役社長の山下佳介が語った。


「中小企業に恩返しをしたかった」


山下は、新卒紹介事業を手がけるリアステージ設立メンバーの1人だ。2014年に同社を立ち上げ、7年間で法人顧客1,000社、年間2,000名の入社決定という猛烈なスピードで成長を遂げた。2020年1月には、タレントを広告塔に起用し、さらなる成長を目指そうと奮起していたところに、新型コロナウイルス感染症が流行し始める。

人材業界は、経済が停滞したらすぐに売上が落ちる傾向がある。山下は、この先の経済がどうなるか分からないと思い、自社の広告をすべて止めた。ところがタレントの起用が功を奏し、広告効果が上がったことにより、集客コストが半額程度に減少した。リアステージは2020年も対前年150%の成長を遂げる。嬉しい結果となった一方、顧客である中小企業1,000社のうち8割は採用を止めた。「山下さん、もう採用はできないです」と経営者から口々に言われたことを、山下は鮮明に覚えている。この状況を黙って見過ごすわけにはいかなかった。

「僕たちが7年間成長できたのは、1,000社の中小企業様がいたから。今、自分たちは幸いにも好調だけど、お客様は経営のダメージを受けている。この人たちのために何かできないか、ずっと考えていたんです。どうにかして、恩返しがしたかった」

出発点となったアイデアは、直近で自社の起爆剤となったタレント起用だ。中小企業1社ではコスト面で手が出せないタレント起用も、複数社でまとまってタレント側と契約し、肖像をそれぞれの自社広告などで活用できれば実現可能かもしれない。このアイデアが「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」の始まりとなり、初代アンバサダーには、この想いに共感したロンドンブーツ1号2号 田村淳が起用されることになった。

挑戦したい中小企業48社との船出


中小企業経営者との対話を重ねた山下は、中小企業の課題を「経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報すべてにおいて課題がない会社はない。挑戦しようとする会社であればあるほど課題は多い」と言う。

事業が停滞し、自分の代で変革しなければならないと考える老舗企業。資金調達してIPOやExitを目指すスタートアップ。このような高みを目指す企業ほど、課題も増えてくる。山下は、ビジネスに人生を賭ける経営者の声に耳を傾けるたびに、「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」で一緒にがんばっていきたいとの想いを強くした。

緊急事態宣言が繰り返し発令される中での新規事業立ち上げに社内からも心配の声があったが、山下は1日10〜12社のお客様と商談し、想いを語り続けた。その大半は「今まで聞いたことがない」「お金を出せない」との反応だったが、ようやく手応えを感じたのは、知人がこのプロジェクトを自分のFacebookアカウントで発信した時だ。150人もの人から話を聞きたいと反応があり、こんなにニーズがあるのかと驚いたという。

こうして1社、また1社と「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」に共感する企業が集まり始め、2021年1月に始動した第一期には48社が参画。コロナ禍でも挑戦したい、成長したいという信念を持つ顧客企業との船出だった。

中小企業みんなで成長し、日本を元気にする


「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」は、2021年6月にはリアステージから中小企業のチカラとして分社化し、サービス内容をどんどん拡充している。「Assist」と呼んでいるサポート内容は大きく5つ。アンバサダーの肖像を使えるマーケティング支援、メディアなどで発信する情報発信支援、SDGs支援、コミュニティ運営、そして経営支援だ。

マーケティング支援は、広告効果はもちろん、組織づくりにも効果を発揮する。タレントを自社のマーケティング活動に起用することで社員のモチベーションが上向いて離職率が下がり、採用活動にも好影響があるという。

中小企業1社では着手しにくいのが、SDGsへの取り組みだ。短期的な売り上げを優先すると手が回らなかったり、何から取り組めばいいのか分からなかったりする企業も多い。山下は、プロジェクト参画企業が協力し合うスキームを用意した。

「既存事業にSDGsの観点が入っている中小企業も実は多い。気づいていないだけなんです。参画企業でワークショップを開いて、各企業の事業がどのようにSDGsに寄与しているのかを話し合う場を設けました。今後は、プロジェクト参加費の一部を寄付に回す構想もあります。そうすれば、参画企業が社会貢献できていることにつながります」



コミュニティ運営は、これから本格始動させる。各企業の課題を参画企業どうしで話し合い、解決する。あるいは良い施策を共有し、他社に横展開するのだ。経営者は普段、悩みごとを相談する相手に乏しいからこそコミュニティが役立つし、課題や施策の共有は各社のためになるだろうと山下は考えている。

経営支援は、中小企業のチカラが信頼する企業とパートナー契約を結び、参画企業へ紹介するスキームだ。資金調達でもマーケティングでも、企業を支援するサービスは数多くあるだけに、どこに依頼すべきか迷ってしまう。そのような時、中小企業のチカラのお墨付きがある企業を紹介してもらえるのは、経営者にとって安心だ。

さらに、「Action」と呼んでいるイベント参加もサポート内容の一環として用意されている。オンラインでのテレビ出演枠、アンバサダーと一緒に参加するイベントなどだ。参画企業の知名度アップに一役買う。7月20日の「中小企業の日」には、アンバサダーと参画企業が一堂に会し、「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」の活動内容の発表会を行う予定だ。

どのサポートも、中小企業1社では実現を諦めていたかもしれない内容ばかりだ。顧客一人ひとりに深く向き合い、既存の常識にとらわれずに発想できる中小企業の良さを、山下自身が体現している。

アワードがもたらす効果は、社員のモチベーション向上


山下が顧客の声を聞き続けているうちに、新たなニーズが見えてきた。それは、社員のモチベーション向上だ。中小企業は社内で表彰される機会はあっても、社外から称賛されることが少ないという。

このニーズに応えようとできたのが、さまざまな観点から中小企業を表彰する「日本中小企業大賞」というアワードだ。プロジェクト参画企業から、ベストプランニング賞、すごい社員賞、働き方改革賞、SDGs賞を選び、栄えある1社にMVP賞を授与する。

「自社の社長が、アンバサダーから壇上でトロフィーをもらう姿を見た社員さんに『がんばってきてよかった』と思ってほしい。これをきっかけに社員一人ひとりのモチベーションが上がれば、会社の成長にもつながるのでは」と山下は語る。

2022年のMVP受賞企業は、社員数30名ほどのベンチャー企業。何回か事業転換する苦難を乗り越え、今回の受賞に至った。同社の社長は「社内のグループチャットが、今までで一番沸きました!」と山下に喜びを伝えてくれたそうだ。

次回のアワードからは、中小企業であればプロジェクト参画企業でなくとも応募できるようにする予定だ。「高校球児にとっての甲子園のように、多くの中小企業に日本中小企業大賞を目指してほしい」と山下は想いを語る。

このプロジェクトから、日本を代表する企業を輩出する


自分達を育ててくれた中小企業に恩返しをしたい一心で事業を立ち上げ、顧客の声に真摯に向き合ってサポート内容を拡充し、今では多くの企業を支援している中小企業のチカラ。5年後には参画企業2,000社を目指し、その先にはさらに大きな将来構想を抱く。

「挑戦したい、成長したいと強く想う中小企業が、今後の日本経済をけん引していくと思っています。そのプラットフォームに僕たちはなりたい。参画企業が大きく成長し、日本を代表するような企業になり、このプロジェクトを卒業する時がいつか来るでしょう。その姿を見て、後に続く中小企業が増えていく世界をつくりたいです」

急成長を続ける同社が、この一年で得られた大きな成果は?との質問に、山下は「お客様の声ですね。計画より前倒しで目標達成したとか、アワードで社内が盛り上がったとか。何よりも嬉しいです」と即答する。願うのは、顧客企業1社1社の成長だ。「僕たちが挑戦し続けることで、少しでも中小企業への刺激になれば」との思いを抱いて山下が歩む旅は、これからも続く。

中小企業のチカラ
https://smes-chikara.co.jp/


やました・けいすけ◎中小企業のチカラ 代表取締役。1986年生まれ、茨城県出身。中学卒業後、陸上自衛隊に入隊し、パルスレーダー整備士として5年間勤務。20歳の時に退職し、受験を経て大学入学。大学卒業後はエン・ジャパンに入社し、中小ベンチャー企業に特化した新卒採用コンサルティングに従事。2014年株式会社リアステージにて新卒紹介サービスを立ち上げ7年で年間入社決定2,000名超えの業界TOPクラスの事業へ成長させる。2021年1月「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」を立ち上げる。同年6月より全方位的に中小企業を支援すべくプロジェクトを分社化し、株式会社中小企業のチカラの代表に就任。

Promoted by 中小企業のチカラ / text by Takako Miyo / photographs by Ryo Kosui / edit by Kana Homma

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