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美酒のある風景 Vol .51「純米大吟醸 神蔵」

Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は7月号(5月25日発売)より、「LAST EPISODE 0 -ELEGANT-」をご紹介。さまざまなボタニカルが加えられたジンは香り高く、華やかな1本だ。


2015年前後から世界的なブームとなったクラフトジンは、日本にあっても京都蒸溜所の「季の美」を皮切りに全国各地でクラフト蒸溜所を誕生させた。それは東京都内でも例外ではなく、小規模ではあるものの現在数か所のスピリッツ蒸溜所が稼働中だ。が、廃棄素材を活用する再生型蒸溜所といえば蔵前にある「東京リバーサイド蒸溜所」だけ。日本で、いや世界でも初の試みだという。

再生型蒸留、といってもなかなかピンとはこないが、要はビールや日本酒、コーヒーなど食品を製造する過程で生まれる廃棄素材をジンの原料に加える手法。

例えばコロナ禍で余剰となったビールを蒸留することで原酒をつくり、そこにさらにビールやホップで香りを加えたジンや、チョコレートづくりの工程で廃棄されるカカオハスク(皮)をボタニカルとしてしようした人など。これから循環型社会においては、たとえ嗜好品であっても、安全であること、美味であることに加え、サステナブルであることが大きな価値と選択基準になる。

ではこの「LAST EPISODE 0-ELEGANT-」に使われている廃棄素材とは?答えは酒かす。日本酒をコス際に大量に生まれる清酒カスを蒸留した粕取り焼酎を原酒に、ジンをつくっているのだ。というと戦後の粗悪なカストリ酒と混同されがちだが、まったくの別物であることを申し添えておく。

酒かすに、ジュニパーベリー、ハイビスカスティー、ピンクペッパー、コリアンダーシード、ラベンダー、カルダモン、生姜、シナモン、カフィアライムリーフ、花椒と種々さまざまなボタニカルが加えられたジンは香り高く、華やかなムード。ソーダで割れば、炭酸でさらに香気が立ち上り、まさに飲む香水といった趣だ。

このジンをベースに山椒とエルダーフラワーリキュールでジンフィズに仕上げたのは、「東京リバーサイド蒸溜所」付設のダイニングバー「Stage」の内山ももえ店長。「ラベンダーに代表される花の香りがエレガントで、女性にも好まれるジンです。発酵トマトやガリで酸味を加えたエビチリなどお料理との相性もよし。食中酒としての可能性を大きく感じさせます」と語る。

またこのジンは販売利益から、酒米を酒かす提供元の酒蔵に送り、そこから再度日本酒を生産するという循環型「エシカル・ジン・プロフェクト」の先鋒でもある。「人という字は人と人とが支えあっているから人なんです」という金八先生の名言を久々に思い出した。人(ジン)だけに。

写真=Jun Hasegawa 文、編集=Miyako Akiyama

美酒のある風景
VOL.51

古今を自在に行き来する、京都市中の美酒

VOL.53

古くて新しい酒、どぶろくの魅力を再発見

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