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使い古された表現だが、戦争はしばしば歴史の流れを変える。しかし、それは真実でもある。

ウクライナ侵攻が起きる前、欧州連合(EU)はそのグリーン政策に対して固い決意があった。27カ国からなる連合は、今、厳しい現実に目覚め始めている。中東の混乱を避けるためにロシアエネルギーに頼り、EU全体の東方政策を通じてロシアと関わり合ってきた戦略は失敗に終わった。ドイツのシュレーダー元首相とメルケル前首相は揃って面目を失い、マクロン仏大統領はいまだ事態を理解していない。

彼らの戦略は、一時的な苦痛を逃れるために欧州のエネルギー安全保障を危険に晒すことだった。現在EUは、ロシアの天然ガスパイプラインを置き換えるために、液化天然ガス(LNG)の新たな供給元を探して奔走している。ドイツの緑の党は、石炭ロビー団体へと変貌した。

エネルギーに飢えた欧州の人々は、サハラ以南アフリカに目を向けてこのエネルギー難を乗り越えようとしているが、果たしてこの動きは欧州の気候政策とアフリカのエネルギー政治にとって何を示唆しているのだろうか。いくつかの障害がありながらも、北アフリカはロシア産ガスの現実的な代替手段であり、それは既存のパイプラインインフラと液化天然ガス供給の関係性によるものだ。

サハラ以南では、ナイジェリア、アンゴラからタンザニア、モザンビークにいたる国々で大量の液化天然ガスの生産が可能だ。5月下旬、アフリカ輸出入銀行とアフリカ産油国連合は、現在の関係を強化し、国際金融のアフリカ石油ガス産業からの撤退に対処するべく、African Energy Transition Bank(アフリカエネルギー転換銀行)を設立した。

EUはこの機会に飛びつき、「ナイジェリア、セネガル、アンゴラなどのサハラ以南アフリカ諸国によるエネルギー輸出ポテンシャル」の探究を、REPowerEU (リパワーEU)戦略に取り入れようとしている。REPowerEUは、ロシアエネルギー輸入への依存を急速に減らすための計画だ。個々の当事者たちも自分たちの取り分を確保しようと急いでいる。ドイツのオラフ・ショルツ首相は5月下旬にアフリカを訪問し、セネガルでのガス生産への協力を申し入れた。イタリアの石油・ガス大手Eniはコンゴ沖液化天然ガスプロジェクトを来年にも稼働させることを確約した。

これらの取り組みは、二大陸の長年にわたる貿易とエネルギーの繋がりの上に築かれている。2007年には、アフリカにおける安価で持続可能なエネルギーサービスの利用拡大を促進するために、アフリカEUエネルギーパートナーシップ(AEEP)が設立された。このパートナーシップは、2018年にアフリカの雇用と持続可能な開発を推進するために作られた「the Africa-Europe Alliance for Sustainable Investment and Jobs(持続可能な投資と雇用のためのアフリカ・欧州同盟)」に支援されている。

アフリカは、欧州が気候変動戦略を推進するために現在進めている計画の中心になるかもしれない。2021年12月に欧州委員会は、持続的な世界景気回復に3000億ユーロ(約42兆円)の投資を動員するグローバル・ゲートウェイ戦略を立ち上げた。この投資の約50%はアフリカにおけるエネルギー転換とインフラ開発の促進、特に再生可能エネルギー発電と生物多様性保護のパートナーシップに向けられることが決まっている。

翻訳=高橋信夫

アフリカ

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