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冨田:もうおっしゃる通りですね。もちろん、エントリーシートを書いて就職してからも人生は続きますが、「あれをしてみたい、これもしてみたい」という試行錯誤の機会がどうしても減ります。仕事や家族で責任をもつ立場になれば、なおのことです。それが学生のときは、受験勉強、つまり試験勉強について考えなければ、高校生でも自由はあります。大学生も必修科目を除けば、割と自由はあります。色々なことに挑戦できるのです。リスクもあるようでたいしてありません。ベストを尽くして失敗したら、謝って許されるケースが多い(笑)。アカデミアはそれでいいと思うんですよ。

ビジネスになると、多くのステークホルダーがいて、契約もあります。失敗してしまうと、その人たちの生活レベルまで変わってしまうくらい重い話になる場合もあります。家族ができれば、だんだん自由も減ってくるでしょう。だから早い段階で考えることが大切なのです。私は小学生でも中学生でもいいと思っています。日本の小学生は意外と自由がありますから。夏休みは遊んでいますし。自由がいちばんないのが高校生活だと思います。本当に勉強が嫌いな人には、“苦痛”の3年間だという人もいます。

そこで、AO入試を通じて一人でも多くの生徒をレスキューしたいのです。つまりIABで自由研究をし、AO入試を受けると決めた生徒は“苦痛”から解放されます。いずれその中から、日本を変えるような子が出てきてほしい、と願っています。

<次回、「テックスターズCEOが語るアクセラレータの進化」へ続く>

牧 兼充◎早稲田大学ビジネススクール准教授。15年カリフォルニア大学サンディエゴ校にて、博士(経営学)を取得。慶應義塾大学助教・助手、カリフォルニア大学サンディエゴ校講師、スタンフォード大学リサーチアソシエイト、政策研究大学院大学助教授などを経て、17年より現職。カリフォルニア大学サンディエゴ校ビジネススクール客員准教授を兼務する。専門は、技術経営、アントレプレナーシップ、イノベーション、科学技術政策など。近著に「イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学」(単著、東洋経済新報社)、「『失敗のマネジメント』がイノベーションを生む」(『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2020年3月号掲載)、『東アジアのイノベーション』(共著、作品社)、『グローバル化、デジタル化で教育、社会は変わる』(共著、東信堂)などがある。

冨田 勝◎慶應義塾大学先端生命科学研究所(IAB)創設者兼所長。慶應義塾大学環境情報学部(SFC)教授のほか、慶應義塾大学医学部兼担教授も兼務する。米カーネギーメロン大学の助教授、慶應義塾大学国際センター副所長などを経て、2001年に慶應義塾大学先端生命科学研究所IABを創設し、所長に就任した。カーネギーメロン大学でコンピュータサイエンス、京都大学で工学、慶應義塾大学で医学と政策・メディアの博士号をそれぞれ取得。2017年06月には、メタボローム学会の創設と発展に顕著な貢献をしたことを理由に、日本人及びアジア人としては初めて国際メタボローム学会の終身名誉フェローを受賞。2021年10月には、一般財団法人バイオインダストリー協会が主催する第5回「バイオインダストリー大賞」を受賞している。

インタビュー=牧 兼充 写真=能仁広之

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