Anuradha Varanasi is a freelance science writer.

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2020年以来、世界中が新型コロナウイルスパンデミック蔓延による不透明感に包まれる中、1つわかったことがある。新型コロナから回復した人たちの中には、新たな症状あるいは症状の悪化を数週間から数カ月間にわたって経験する例が一定数存在していることだ。「ロングコビット(Long Covid)」と呼ばれるこの後遺症の特徴は極度の疲労、気分の落ち込み、肺線維症、息切れ、不眠、糖尿病、記憶障害などの症状として現れる。

ロングコビットの原因はいまだ明らかになっていない。ある研究が、新型コロナウイルスと戦うために免疫システムが生成する抗体価が高くなることによって発症するとしている一方、新型コロナウイルスが特定の種類の患者に持続的な障害を与えているとする別の研究もある。論文誌『Current Medical Research and Opinion』で報告された最新研究は、ロングコビットが、男性と比べて女性を苦しめることの方がはるかに多く、しかも女性に見られる症状の種類が男性と大きく異なると報告している。

研究チームは、免疫反応におけるいくつかの性差を詳細に研究しようと考えた。女性はウイルスあるいは細菌感染に対する免疫反応が早く、頑強である傾向があると考えられているからだ。

この傾向が新型コロナウイルスに対してどのように働いているかを深く理解するために、研究チームは約130万人の症例を含むデータを掘り下げて研究した。中でも、さまざまな問題を訴えている女性ロングコビット患者に特に注目した。この中には気分障害、胃腸およびリウマチ症状のほか皮膚、鼻、喉、耳などの部位の疾患も含まれている。

一方、男性は糖尿病など腎臓に関連する疾患を報告する患者がずっと多かった。研究チームは、2019年12月から2021年5月までの期間に発行された相互査読論文誌および査読前原稿サーバーを調べた。

彼らが抽出した4346件の研究のうち、被験者の性別を明らかにしているものは35%しかなかった。これらの研究プロジェクトは、新型コロナのワクチン接種が普及する前に実施されたものだ。

「女性はより迅速で頑強な自然免疫および適応免疫反応を示すことで、初期感染と重症化から身を守ることができる。しかし、この性差が、長期化する自己免疫疾患に対して女性が弱くなる原因にもなりうる」と研究者らは述べている。「性ホルモンの相違も、性差によるリスクと転帰の非対称性に寄与していることが、閉経周辺期および閉経後患者に重複するロングコビット症状からわかっている」

さらに研究チームは、女性が看護や教育といった多人数と接触する仕事に就く可能性がはるかに高いことも指摘している。女性は、適切な医療を利用する機会を得ることが男性とくらべてはるかに困難であり、その結果、新型コロナ感染症から回復した後の合併症につながる可能性が高い。

「性差は疾患の診断においても重要であり、男性と比べて女性の診断が遅れることの多い慢性症状においては特にそうだ。これはロングコビットでは重要である。なぜなら女性におけるロングコビットの症状は、心理学的に筋痛性脳脊髄炎あるいはライム病で見られる慢性疲労症候群と類似しているためだ」と著者らは付け加えた。

ただし、この研究の限界は、利用したデータが少量だったことであり、それはバンデミック開始から18カ月間に性差に基づくデータを報告した研究がわずかしか公表されていないためだ。

今後はロングコビットの女性と男性の症状を世界的に追跡することで、新型コロナウイルス感染後の生物学的違いに新たな見解が見つかることを研究チームは期待している。

翻訳=高橋信夫

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