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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

世界がパンデミックを体験したことで顕在化した、物流が抱える数々の問題。その解決にテクノロジーで挑む新参者は、業界を変えられるのだろうか。

コロナ禍以降、eコマースが爆発的に成長する一方で滞るサプライチェーン。ネックとなっているのは、事故や天候の影響、検疫や税関手続きの煩雑さ。コンテナ輸送を一元管理するソフトウェアで現状打開を目指すフレックスポート(Flexport)は、業界を刷新できるのか。いま最も熱い「世界経済ゲームチェンジャー」を紹介しよう。


米国カリフォルニア州オークランド港。フレックスポートの創業者兼最高経営責任者(CEO)のライアン・ピーターセン(41)は、高さ約113mのクレーンがコンテナを一つずつ吊り上げ、貨物船のデッキに降ろす様子を眺めながらこう言う。

「西海岸の船は、確実にうちのコンテナを積んでいるんですよ」

彼の言葉は決して大げさではない。フレックスポートは、自前の貨物列車や輸送機、貨物船は一切所有していないが、ITプラットフォームで貨物輸送を管理する「デジタルフォワーダー」として有数の急成長プレイヤーなのだ。

同社のソフトウェアは、顧客の供給網を分析・最適化し、紙の通関手続きを自動化。配送時間を何日も短縮し、顧客の遅延損害金を何百万ドルも減らす方法を編み出している。また、一元化された追跡・メッセージシステムを用いることで顧客の業務時間を1週間に平均4時間も節約。さらに二酸化炭素排出量のオフセットもしてくれる。



創業は2013年。シリコンバレーでも屈指の大手ベンチャーキャピタルやテック系ビリオネア、ピーター・ティールのファウンダーズ・ファンド、ユーリ・ミルナーらの出資を受けており、太平洋航路では世界第7位の貨物スペース購入者となっている。

輸送産業は巨大市場だ。コンサルティング会社のアームストロング&アソシエイツによると、物流への支出は20年に世界全体で9兆ドルに達しており、世界の国内総生産(GDP)の約11%。フォワーダーが物流業務を一括して請け負うサードパーティ・ロジスティクス(3PL)の規模は1兆ドル近く。

米国では2300億ドル規模の産業で、GDPの1.1%相当だ。21年の世界の貿易量は、記録的な需要で8.3%増、米国人が昨秋、買い物に使った額は20年2月から20%増えたというデータもある。



だが、供給は追いついていない。現在、中国から米国への商品の配送時間は、19年より1カ月以上長い。一方でコンテナ1個当たりの輸送コストは、パンデミック前に2000ドル未満だったものが21年夏には2万ドルを超えている。



フレックスポートにとって、これらはすべて好材料だ。19年は6億7000万ドルだった売上高は、20年には13億ドル、21年には33億ドルに達した。同社は収益の約80%を輸送業のパートナーたちに渡してきたので、21年に3700万ドルの純利益を計上して初めて黒字化した。

文=アレックス・コンラッド 写真=ジャメル・トッピン 翻訳=木村理恵 編集=森裕子

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