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パーソルキャリア株式会社は、Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2021において、前回の企業サーベイにおける行動指標のスコアと比較すると31.5pt成長しており、全エントリー企業の中でスコア成長率がトップでした。そのプロセスと企業努力が評価され、特別賞「ドラマティックグロース賞」を受賞。その取り組みの背景について、パーソルグループジェンダーダイバーシティ委員会 委員長/パーソルキャリア執行役員の喜多恭子様にお話をうかがいました。


多様な視点を持つメンバーで議論した「ジェンダーダイバーシティ委員会」


━━女性活躍推進に取り組まれている背景を教えていただけますか?

パーソルキャリアは、【人々に「はたらく」を自分のものにする力を】というミッションを掲げ、はたらく一人ひとりが持つ可能性を誰よりも信じ、人々が「はたらく人生」において輝き続けられる社会の実現に向けて挑戦をし続けています。目指すべきものを言葉として明確にした時に、まずは自分たちがこのミッションを実現できていることが重要だと考えました。

当社の男女比率は入社時は5:5なのですが、役員になると9:1になります。この違和感に向き合うために、社内のキャリア成長におけるジェンダーギャップ解消に向けてさまざまな取り組みを始めました。

女性といっても、ライフステージや属性、能力・スキル、価値観の異なる社員が抱える悩みは多種多様です。一人ひとりが自身のなりたい姿を描き、未来を選択できるような会社にしたいという思いがあります。

━━グループ全体としても、「ジェンダーダイバーシティ委員会」を設置するなど、積極的な取り組みをされていますね。

パーソルキャリアとしても、パーソルグループ全体としても、以前よりダイバーシティに取り組んでいました。しかし女性管理職比率などの関連数値や社員の体感として、なかなか変化を感じにくい状況でした。

そこで、2021年9月にグループ横断の委員会を発足させたのです。各社から代表を集めて、ダイバーシティへの考え方や施策のアイデアなどを話し合いました。初めは10名もおらず、各社の人事担当者やダイバーシティ推進担当者を中心に構成された委員会は女性メンバーのみで始まりました。

しかし、徐々に「多様性を検討するのに、本当に女性だけで議論していていいのだろうか?」と思うようになり、男性や、あえてこういった活動にモヤモヤとした違和感を抱えている人たちにも参加してもらうことに。せっかくグループ横断で取り組んでいるのだから、多様な視点を持つ人たちと議論したいと考え、メンバー構成を見直しました。

━━あえて異なる意見を持っていそうな人をアサインするというのは、とても勇気あるご判断ですね。

そうですね。想定通り、初めのうちは議論が紛糾しました(笑)。でも「不満の声」は「期待の声」でもあります。まずはお互いが意見をぶつけ合って、意見の相違を理解することが第一歩だと思います。お互いに何が引っかかってどう見えているか、その見え方の違いを共有すると、気づきの多い有意義な議論になるのです。

今では30名強まで参加人数が増え、男女比率は半々です。一定の運用の形ができあがり、各社のナレッジを共有しています。女性管理職比率をはじめ、内部登用率、外部採用率などをモニタリングしながら、総合的な女性活躍を推進しています。


2021年9月、ジェンダーダイバーシティ委員会発足時に撮影したもの


━━女性活躍推進のほかにも、「DI&E(Diversity, Inclusion & Equality)」の取り組みの一環で、アンコンシャスバイアス研修なども実施されていますね。

はい。今の管理職の世代と、若いメンバーとの間の価値観のギャップに着目して、パーソルグループ全体で実施している管理職向けDI&E研修に加え、パーソルキャリアでは約500名の全管理職に向けて一気に実施しました。ひと昔前は、「競争を勝ち抜かなければならない」、「これは男性の仕事で、これは女性の仕事」などといった考え方が強かったように感じますが、今はそういった時代ではありません。そのような意識を皆でアップデートして、行動を変えていこうという目的で、2020年から毎年実施しています。

研修の内容はユニークで、「人間の脳の動きの違い」をテーマにしたものになっています。自分の考え方とは違うタイプの思考や感性のありようを理解し、互いの心理的安全性を醸成しながら組織力を上げていくことがゴールです。

多くの人は、自分と似たタイプの人に親しみを持ちがちで、そうではない人を無意識に避ける傾向があります。そういうことがあるという前提で、自分とは異なるタイプの人を否定せず、補い合いながら、どうモチベーションを上げてもらうのか?を考えてもらうのです。

メンバーの特性を活かしてパフォーマンスを上げるという管理職の責務にも直結する内容なので、脳の特徴の違いによって物の見方、好みの対話、モチベーションの在り様に違いがあることを知り、「そういうことだったんだ!」といった感想も多く、非常に有意義だったようです。

━━世代間ギャップなど、ともするとつい目を背けてしまいがちな課題に、皆さんできちんと向き合っているのが素晴らしいですね。

毎年多くの新入社員が入ってきますし、中途入社者の年齢層も比較的若い傾向にあります。弊社のミッションに共感してくれる新しい仲間たちが、何らかの違和感で自分らしさを発揮できない、また退職してしまうなどすれば、管理職の皆さんも強いチームを作りにくくなります。だから当事者意識が高いのだと思います。

また当社は人材紹介をビジネスの主軸としているので、企業が抱えている組織課題に共に取り組んだり、転職希望者の生の声を聞いたりと、世の中の風潮を把握する機会が日常的に多いというのもあります。特別に課題として取り組むというよりは、必要な変化として適応しようとしている傾向はありますね。

管理職は、選択肢の一つとして気負わずにチャレンジしてほしい




━━女性管理職比率向上についても積極的に取り組まれていますが、喜多さんご自身が初の女性役員に就いたときは、どのようなお気持ちでしたか?

私が統括部長になったのが31歳のときで、周囲にはまだ女性上級管理職はいませんでした。同年代や年上の男性よりも早いタイミングでしたし、若い女性が上級管理職に就くという前例が無かったのです。

メンバーの企業訪問に上司として同行した際に、「なんだ、女性か……」という目で見られた経験もあります。まだそういう時代だったんです。「女性だというだけで、できないと思われてしまう」という事実を知り、やり場のない気持ちを抱えつつも、気軽に相談できる人もいなかったので、自分自身にプレッシャーをかけるしかありませんでした。「女性はヒステリックだ」と言われれば、自分は絶対にヒステリックにならないようにしよう、と気をつけてみたり……。

そんな経験を経てから役員に就任したので、その頃にはもう肩の力が抜けていたと思います。「女性が役員になった」のではなく「自分が役員になった」というフラットな気持ちでしたね。

━━これから管理職へチャレンジしようとしている女性たちを、どのように支援したいとお考えですか?

まず、「嫌だったら無理にチャレンジしなくていいよ」と声をかけてあげたいですね。プレッシャーを感じすぎず肩の力を抜いてチャレンジしてほしいですし、社内での管理職を数あるキャリアの選択肢の一つとして捉えてほしいなと思います。まずは気負わずにチャレンジしてみてから、自分自身で柔軟に判断してみるのがいいと思います。

あとはやはり、私が管理職になった当時は社内に女性管理職がいなかったことから、自身が相談できる相手がいなくて苦しかった経験があるので、横のつながりがある状態にはしてあげたいですね。具体的には、女性管理職向けの研修やマネジャー同士の座談会などを企画しています。

男女問わず管理職になるにあたってより強く求められてくるスキルを強化する実践的な研修を、まずは優先的に女性社員に対して検証を開始しました。先ほどの「脳の動きの違い」の話に近いのですが、やはり「和を尊ぶ女性」と「競争する男性」では、コミュニケーションスタイルが異なります。優秀な女性たちがその「スタイルの違い」だけで不利になるのはナンセンスなので、実践的なスキル開発を行っています。

また、社外にも相談相手を用意しています。具体的には、一部の上級女性管理職に対し「社外メンター」の仕組みを取り入れて、自分の経験や個性にマッチする「社外の先輩」に相談できるようにしています。

━━サポート体制が充実していて、これからチャレンジする女性たちも安心ですね。女性管理職比率の目標は、パーソルグループでは37%に設定しているそうですが。

よく「ちょうどよいロールモデルがいない」という声を聞きます。でも、ロールモデルというのは、そっくりそのまま真似する必要はないんです。数あるサンプルの中から、良いところを参考にすればよいだけ。

でも、サンプルが少なければやはり不安になります。管理職比率が男女8:2という状態は要するに、「男性は8人のサンプルを参考にできるけど、女性は2人のサンプルしか参考にできない」ということなんです。もし2人しかいなかったら、自分とちょっと志向が違うタイプだった場合、「私はああはなれないな」と感じてしまうのは当然ですよね。仮にこの比率が男女逆であれば、男性だってそうなると思います。だからこそ、女性管理職を37%の比率に引き上げ、参考にできるサンプルを増やしてあげたいと思っているのです。


企業成長のための「経営戦略」として位置づけた女性活躍推進


━━エントリーをしたきっかけは何でしたか?


自分たちの活動のエネルギー源にしたいというのと、社会の多様化が進む中で、客観的に自社の状態を知りたかったというのが大きいですね。

サーベイのフィードバックレポートも詳細で、自己認知が深まりました。ダイバーシティ推進などの活動は、単に社員の声に応えているだけだと、凸凹を埋める取り組みだけになりがちです。でもこうやって客観的に数値で評価されると、誰が何をすべきなのかが本質的にわかるのでありがたいです。

━━受賞後の効果はいかがでしたか?

プロジェクトのメンバーは盛り上がりましたね(笑)。次のテーマが明確になって、モチベーションも上がりました。もちろん、経営陣も喜んでいましたよ。特に今回は、TOPの意思が非常に強いプロジェクトだったので。女性活躍推進に関する大きな取り組みは過去にも2,3回はあったのですが、ここまで本格的に経営戦略として位置付けて取り組んだのは初めてかもしれません。「企業成長につながる」と信じてTOPが旗振りしたのが大きかったですね。

男性の育児支援や、全社的な働く環境のさらなる向上が今後の課題




━━今後は、DI&Eについて、どんなチャレンジをしたいですか?

今後は女性同士や女性管理職のネットワーキングに力を入れて、活躍し続けたい女性の居場所がしっかりあるという状態を作りたいです。

またパーソルキャリアの中では、委員会とは別に、事業部ごとにDI&E担当がいます。外国人の多い事業部もいれば、男性が圧倒的に多い事業部もあります。それぞれの課題に合わせた取り組みを行っているので、積極的にシェアし合い、横展開していきたいと考えています。

あとは、これまでは比較的ダイレクトに女性のスキル開発や働き方にフォーカスしていましたが、これからは男性育休や、全社的な残業時間に関する課題解決にトライして、より本格的な労働環境改善に取り組んでいきたいですね。まだまだたくさんの課題があるので、やりがいがありますよ(笑)。


Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2022
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経済面におけるジェンダーギャップ解消に寄与するアワードへ

本アワードは、人数比率や育休比率、福利厚生などの「働きやすさ」を基準にした選出ではなく、女性リーダー、プロフェッショナルを続々と輩出している企業と、自ら道を切り拓き自分らしく働く女性を讃えるアワードとして、2016年に発足しました。

アワードに使用されるサーベイは、LiBが8年にわたり女性活躍の領域で蓄積してきたノウハウをもとにした設計方針が支持され、多くの企業様にご導入いただいています。2022年度は、コロナ禍を経て大きな変化を遂げた「働き方」に関する調査項目を増やすなど、より実情に即した形へとアップデート。

企業における「柔軟で多様な働き方の推進」と「性差なき活躍」との相関を探ります。今年度の参加登録受付は、7月8日(金)、エントリー締切は7月15日(金)まで。

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