Getty Images / Edward Norton

「真実の行方」(1996)や「ファイト・クラブ」(1999)、「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014)などの演技で知られる俳優のエドワード・ノートン(52)は、テクノロジーに精通していることで知られている。長年のキャリアを通じ、映画のマーケティングに関わってきた彼は、データサイエンスがエンタメ業界にどのように役立つかを考えてきた。

ノートンは、テレビ広告の効果測定にマシンラーニングを適用するデータ分析会社「EDO(Entertainment Data Oracle)」を共同創業し、ニールセンのような大手に対抗しようとしている。

「例えばフォックスが『グランド・ブダペスト・ホテル』に非効率な支出をすれば、監督のウェス・アンダーソンをはじめとする作り手の稼ぎが減ることになる。しかし、彼らが自分たちの出費の効果に自信を持つことができれば、もっと面白いものを作ることができるかもしれない」とノートンは話す。

大手のTVネットワークが、グーグルやフェイスブックなどのテクノロジー企業に匹敵する価値を広告主に与えようとする場合に、課題となるのが効果測定の問題だ。EDOを含むスタートアップは、650億ドル(約8.7兆円)規模のテレビ広告市場の一角を勝ち取ろうとしている。

2014年に設立されたEDOは、テレビの視聴率と効果測定をほぼ独占してきた創業100年のニールセンに対抗しようとしている。ニールセンの2021年の売上は35億ドルで、2022年第1四半期の売上は8億7700万ドルとされている。

ノートンは、起業家のダニエル・ナドラー(Daniel Nadler)とEDOを共同創業した。ナドラーは、2018年にAIスタートアップのKensho TechnologiesをS&Pグローバルに5億5000万ドルで売却した実績を持つ人物だ。彼らはまた、フェイスブックやスポティファイなどの初期投資家として知られる著名投資家でビリオネアのジム・ブレイヤーからの支援も得ている。ブレイヤーが運営するBreyer Capitalは、2018年にEDOの1200万ドルのシリーズAラウンドを主導した。

今から8年前にノートンとEDOのアイデアについて話していたナドラーは、ハリウッドの制作会社が映画やドラマの企画を決める場合に、今だに作り手の勘に頼っていることに驚いたと話す。

「2014年当時に、デジタル業界では検索トラフィックや、SNSの指標を用いるのが当たり前だったが、映画業界では、脚本がうまくいくかどうか、予算をいくらにするかを、業界の目利きとされる人物の直感だけで決めていた」

翻訳・編集=上田裕資

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