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スティーブ・ジョブズ(Getty Images)

筆者がアップルの研究を始めて数十年が経つが、同社の成功の秘訣について聞かれることがよくある。その答えは、同社の共同創業者であるスティーブ・ジョブズがMacをリリースした1984年頃に語った言葉に含まれている。彼は、「操作が簡単なコンピュータを作る」という信念を持ち、その具現化に努めた。

コンピュータは、開発された当初は使いにくく、専門のトレーニングを受けなければ操作をすることができなかった。メインフレームの時代は、特のその傾向が顕著だった。

ジョブズは、初期のコンピュータが特定の用途向けに設計され、政府や教育、ビジネスなどの場で専門家が利用するものであることをよく理解していた。彼とアップルの共同創業者のスティーブ・ウォズニアックは、1975年頃にコンピュータ市場を分析し、エド・ロバーツが開発した世界初のパソコン「Altair 8800」に多大な影響を受けた。

1975年にポピュラーエレクトロニクス誌で紹介されたAltair 8800の価格は、ウォズニアックには手が届かないものだった。そこで、彼は自分でパソコンを作ろうと思い立ち、そこにジョブズが加わってアップルの歴史が始まった。

ジョブズは、Apple IやApple IIのマーケティングを手掛けながら、アップルの成功の礎を築いた。1981年にIBMが初代のパソコンをリリースしたが、同社のオペレーティングシステムであるDOSは、まだまだ使いにくく、使いこなすためにはトレーニングが必要だった。

アップルの設立から1982年頃まで、ジョブズはコンピュータをより広い層に普及させるためには、もっと簡単に使えるようにしなければならないという思いを強くしていた。この信念が、ジョブズと彼のチームを突き動かし、最初のブレークスルーを生み出した。

ジョブズは、Macをリリースする3年前にゼロックスを訪れ、世界初のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を目にした。当時のインターフェースはテキストベースだったが、ジョブズはGUIがコンピュータの操作性を革新させることに気づいた。ゼロックスがGUIを商品化することはなかったが、ジョブズは独自のGUIを開発し、世界で初めてGUIを採用したパソコンであるMacを発売した。

これにより、ジョブズが目指したように、パソコンは子供でも扱えるほど簡単になった。アップルのGUIは直感的で、ウィンドウズのライバルとなった。現在、GUIはあらゆるコンピューティング・プラットフォームにおいて、マンマシンインタフェースの中核を成している。

使いやすさを追求するジョブズの姿勢は、やがてiPodを生み出した。初期のMP3プレーヤーは標準的なインターフェースが存在せず、使い勝手が悪かった。アップルは、iPodのUIを整備して音楽を簡単にダウンロードできるようにし、その結果としてMP3プレーヤー市場が爆発的に拡大した。

編集=上田裕資

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