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語学学習アプリは、コンシューマ向けのテクノロジー業界の中でもベンチャーキャピタルの支援を受けにくい分野だ。その理由は、この分野の企業の多くが収益化に苦労してきた歴史にある。ロゼッタストーンは、10年にわたって株価を低迷させた後、2020年にプライベート・エクイティに事業を売却した。オープン・イングリッシュは、2013年に評価額が3億5000万ドルに達して以降、話題にのぼることが少ない。

最も成功しているとされるDuolingoは、2019年に黒字化を達成すると述べていたが、IPO時に提出した資料によると1400万ドルの赤字で、昨年は純損失が6000万ドルに拡大した。

サンフランシスコ本拠のスタートアップ「Cambly」は、こうしたトレンドから脱却できると考えている。同社は英語の学習に特化しており、体系的なカリキュラムよりも、講師との1対1の会話を重視している点が他社と異なる。Camblyは約10年前に設立され、シリーズBラウンドで、ベッセマー・ベンチャーパートナーズとベンチマークから合計6000万ドル(約80億円)を調達している。CB Insightsによると、2020年に実施した直近ラウンドでの評価額は、2億5000万ドルに達していた。

「語学学習ビジネスの失敗事例で共通しているのは、効果を過剰に宣伝していることだ。彼らは、ユーザー獲得に多額の資金を投じて急成長したものの、結局、解約率が上昇し、投資家が敬遠するようになる」とベッセマーのJeremy Levineは話す。Levineは、Camblyの取締役でもある。

株式市場の低迷を受けて、ベンチャーキャピタルは投資先に節約を呼び掛けている。しかし、Camblyの創業者でCEOのSameer Shariffによると、同社はずっと以前から利益を優先してきており、キャッシュフローは過去5年間黒字だという。このことから、Shariffは、他社のような失敗を避けることができると考えている。

Levineは、もともと語学学習アプリに懐疑的で、その多くは詐欺に近いと考えていたという。しかし、Camblyがマーケティングに多額の費用を費やすことなく成長していることに驚き、2018年にシリーズAラウンドを主導することを申し出たという。

「売上高や成長率は、会計や経営指標を操作してごまかすことができるが、キャッシュフローはごまかすことができない。同社のキャッシュフローが黒字であることは、紛れもない事実だ」と彼は話す。

Shariffは、もともとグーグルのソフトウェアエンジニアで、同僚だったKevin Lawと2013年にCamblyを設立した。彼は、アルゼンチンに旅行をした際、現地の人とスペイン語で会話をし、高校時代に受けた授業よりも効果的であることに気付いたことから、Camblyのビジネスプランを思いついたという。2人は、ビジネスパーソンのニーズに応え、英語に特化することにした。

「国際的なビジネスでは、英語が共通語だ。スペイン語やフランス語は、英語ほど使われていない」とShariffは言う。

編集=上田裕資

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