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闇と光を隔てるのは──


次の壁は、誠意を持って仕事と向き合えるかどうかだろう。話を聞いたKiichi氏は語り口が聡明で「信頼できる人」の印象が強い。見た目だけではない。クレームを受けたこともなく、今までで辛かったことといえば「台風で商品が濡れないよう気遣うこと」と答えるのだから、その丁寧な仕事ぶりがうかがえる。

しかしどうだろうか。アマゾンフレックスは、ヤマト運輸や佐川急便の仕事ぶりと比較され「品質が悪い」と比喩する口コミが少なくない。実際に「(配達の際に)荷物を放り投げられた」「挨拶もしない」といった声もあるようだ。

Kiichi氏いわく、業界を見渡すと「見た目が派手で、適当な雰囲気の人は多い」という。これも見た目だけではなく、荷物を積んだ車内でタバコを吸ったり、運転が荒かったりと品質面に関わる素行の悪さも目につくようだ。

「お客様の商品を運んでいる感覚がない人もたくさんいると思います。1日、ただ運べば報酬がもらえると考えている人に『大丈夫かな』と思うときもあります」

決して「体力勝負」ではない


最後の壁は、「頭を使って仕事ができるかどうか」だろう。アマゾンフレックスはアプリを通じてAIが配送順の指示をくれる。アプリの地図上に数字のついたピンが表示され、その順番を頼りに配送すれば良いという仕組みだ。

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Getty Images

ただあくまでヒントであり、必ずしもその順番に従う必要はない。自分で配送ルートを組み直し、車内への荷物の積み方も工夫する。土地勘がないエリアの配送となれば、YouTubeや身近な人からの情報収集も怠らない。

これがアマゾンフレックスで「稼げる」人の特徴だ。誰でも参入できる仕事、イコール誰もが稼げる仕事ではないと強調しておきたい。

物流を支えるギグワーカー、明暗の分け目は──


宅配ドライバー不足「宅配クライシス」が問題視される中で、企業と雇用関係を結ばずに単発で仕事を請け負う「ギグワーカー」が物流を支えている。企業に属さない働き方はまさにニューノーマルな時代の象徴ともいえるだろう。

しかし安易に他業種から脱サラして自由な働き方を選ぶことはおすすめしない。物流に貢献する闇になるのか、光になるのか、すべてが仕事の腕にかかるのだから。



田中なお◎物流ライター。物流会社で事務職歴14年を経て、2022年にライターとして独立。現場経験から得た情報を土台に、「物流業界の今」の情報を旺盛に発信。企業オウンドメディアや物流ニュースサイトなどで執筆。

文=田中なお 編集=石井節子

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