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宅配に関わるギグワーカーが注目する「アマゾンフレックス」。時間や場所にとらわれない自由な働き方ができることが魅力だ。その裏には成功するドライバーと離脱していくドライバー、その「闇と光」がはっきりと分かれている。

アマゾンフレックスはアプリを通じてアマゾンから荷物の配達を委託される働き方であり、時給にして2000円ほどに相当する。その実情は以下の通りだ。

8時間もしくは12時間と自分で労働時間の枠を希望し、アマゾンフレックスから一方的に言い渡される荷量を配達しきる。配達が終われば早く帰ってもよいため、効率の良いドライバーほど時給は上がる。まさに会社員にはない自由さがある。

「3分に1個」配達で月収38万も


ところが話はそう簡単ではない。未経験からアマゾンフレックスを始め、経験1年を超えたKiichi(キイチ)氏に話を聞いた。Kiichi氏はユーチューバーとして「軽貨物LIFE チャンネル」で発信活動をしており、アマゾンフレックスで成功しているドライバーの一人だ。軽貨物ギグワーカーに役立つ情報を発信している。

最近では、8時間の枠で130個~150個ほどの配達を依頼されるという。集荷場所から配達エリアまでの移動時間を考慮すると1時間あたり20個ほど、つまり単純計算で3分に1個を配達することになる。Kiichi氏はこの働き方でおおよそ週5日、8時間労働で月38万ほどの収入を得ている。


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Kiichi氏はコロナ禍で飲食店の雇われ店長として働いた経験と比較して、アマゾンフレックスの仕事をこう表現した。「仕事を自分で見つけて、働いた分だけが稼ぎになる働き方に不安がないといえば嘘になる。でも休みは自分のバランスの良いように調整ができて、うまくやれば稼ぎを増やせる。今の方が自分らしくいられるし、楽しい」

一方で、「アマゾンフレックスの仕事は宅配ロボットのようだ。仕事内容からしたら報酬は安すぎる。宅配の仕事をすると安すぎるのに慣れて感覚が麻痺する。ひどい現場だ」と表現する経験者もいる。

この違いはどこにあるのだろうか。

「未経験でも時給2000円」の裏側


アマゾンフレックスの「時給2000円」は、宅配の仕事を未経験から始める人にとって比較的高いと感じられるだろう。というのも、業界に染み付いている下請け構造から、13時間拘束の日当18000円や配達1個あたり100円程度の報酬が普通だからだ。初心者でも割りの良い宅配の仕事として、アマゾンフレックスに参入する人もいる。

しかしアマゾンフレックスの仕事には、現場研修がない。オンライン研修と口頭でアプリの使い方と仕事の流れの説明を受け、マニュアル本と荷物を渡される。「困ったときはサポートセンターに電話を」と言われるが、サポートセンターはマニュアル通りの返答しかせず、現場の状況に即していない場合もあるという。

Kiichi氏は「難しくなかった」というが、これに慣れられるかが、一つの壁になるだろう。アマゾンフレックスで働く人は40~60代がメイン。70代や女性もいるというのだから、適応できない人がいるのは容易に想像ができる。

文=田中なお 編集=石井節子

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