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「役員同士でも、キャッシュフローが良くなるようなプライシングをしようという発想が出てきがちです。例えば、初期費用をいただけば、キャッシュインが最初にあるからラクじゃないですか。キャッシュフローは良くなりますが、ユーザーにとっては重たいですよね。ぜんぜん軽やかではない」

プライシングは、商品ごとの解約率や継続率や返品率、そこからサービスを持続させるために最低限必要な月額利用料や、ユーザーが求めている利用期間を見定めて決定。

長期間利用を想定していた製品が、思いのほか短期間で返って来る場合もあり、その都度調整が必要です。サービスレベルを維持できるギリギリを見極めるために、適正価格をずっとテストし続けています」

適正価格を上回れば返却率が上がりやすく、その分オペレーションコストがかかり、カスタマーサポートの稼働が増えるなど影響が出る。

「プライシングはそれだけ重要で、変更する場合はサブスクを維持しているインフラが持ちこたえられるかどうか、思考実験を繰り返します」

家具のサブスクは在庫数や歩留まりを読みきれないリスクを抱え、キャッシュを回収し切るまで長期を要するため、キャッシュフローの観点では不利だ。実際、創業時の試算では「30〜50億円くらいの資金調達が必要だと分かった」と久保はいう。

「まだ1円も売り上げていないベンチャーが、コンテナ何個分かのベッドやソファーを中国から仕入れることから始めました。怖かったですよ。でも一方で、解決できる課題が大きいことでもありました」

CLAS代表の久保裕丈

 CLASは、久保自身が引っ越しをする際に感じた「面倒くささ」から始まった。友人にビジネスアイデアを話し、好感触を得て事業化を決断。当初はユーザーが一人も増えない日もあったというが、現在は1日に数百人単位の登録があるそうだ。

創業から4年。大型の資金調達も果たしユーザー獲得も順調に進むいま、久保は「テクノロジー」に投資の比重を置く。

「1回貸し出して終わりではなく、サブスクのサービスはつねにユーザー体験の満足度が高まっていなければなりません。その体験価値を向上させるためにテクノロジーへの投資を重視しています」

オペレーションの課題解決においても、投資は不可欠だ。

「そもそも家具は、重たいものを運び、オペレーションに負荷のかかるビジネス領域です。ここをテクノロジーの力でいかに効率化できるか。そのため当社はシステムをゼロから作り、外部のサービスはほとんど使っていません。倉庫とのシステムを連携し、受発注も自動化しています。

在庫状況と利用ペースを見れば『このタイミングで自動発注をかけると、機会損失を最小化できる』と分かります。そういったインフラを効率化するためのテクノロジー投資はとても大事です」

熱狂的なファンを生む家具・家電サブスクCLAS。継続して顧客満足を生み出すには、新しいライフスタイルを捉え、徹底してユーザー目線を突き詰められるかどうかにかかっているようだ。

文=山岸裕一 編集=露原直人 撮影=草葉あゆみ

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