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「妻は特に日本の文化や社会に詳しいわけではありません。しかし『とにかくストーリーがとても良い』『主人公のはるたんが面白い』と絶賛していたので、私も観てみたところ、妻の言う通りでした。私もそれに納得したというわけです」

つまり、ロー氏は「おっさんずラブ」はコメディドラマとしての新しさと、ユニバーサルな笑いに深く共感したのです。リメイクドラマの成功の可否は、オリジナルが海外でも評価される独自性と普遍性を兼ね備えているかどうか。日本発の「おっさんずラブ」は、この条件を十分に満たしていました。

香港の人気アイドグループMIRRORのメンバーを起用


リメイクドラマの成功の条件には「ローカライズへの対応力」も挙げられます。役者のキャスティング、言語や習慣など自国の文化に合わせた内容のアレンジ、リメイクの必然性、この3つがローカライズの際の重要な要素となります。

香港版の「おっさんずラブ」では田中圭が演じた春田役に、香港の人気アイドルグループ「MIRROR」のイードン・ルイを、林遣都が演じた牧役にも同グループのアンソン・ローを起用しています。さらに会社の同僚役にも同グループのメンバーが出演しています。そして、吉田鋼太郎が演じた黒澤部長は実力派国際俳優の「KK」こと、ケニー・ウォンが演じています。


MIRRORのイードン・ルイ(左)とアンソン・ロー(右)/(c)viuTV

アイドルグループのメンバー起用について、前出のトミー・ロー氏は「オリジナルのキャラクターを尊重しつつ、演じた役者さんの雰囲気に沿う起用を第一に考えた」と説明しています。

またキャリアが長いケニー・ウォンにとっては、初のゲイの役になりましたが、はじめから30代の男性に恋する50代の男性の役であることを理解したうえで、出演を快諾したそうです。


ケニー・ウォン(左)/(c)viuTV

ローカライズ化にあたってのいちばん大きな変更は、新エピソードが追加されことでした。2018年放送の日本版シーズン1の約2倍、全15話に増えています。

「オリジナルは全7話でしたが、15話に拡大することによって春田の幼なじみの荒井ちず(内田理央)や黒澤部長の妻である蝶子(大塚寧々)などの周辺キャラクターも詳しく描くことができました。

追加したエピソードについては、(オリジナル制作元の)テレビ朝日に提案して意図を説明したところ、快く理解を示してくれました。そのおかげで全15話のリメイクが実現できたことにとても感謝しています」(トミー・ロー氏)

ドラマリメイクの成否は、まさにオリジナルの制作元とリメイクする側の双方で、ローカライズ内容についての意思疎通がはかれているか否かが大きく影響するのです。

文=長谷川朋子 

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