旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」

WDCD2022 Photo by Enrique Meesters

6月5日、アムステルダム市内中心部の劇場で、デザインを通じて地球規模の課題解決に取り組むプラットフォーム「What Design Can Do(WDCD、デザインができること)」の定例会議が開催された。パンデミック後初となるリアルイベントだ。

WDCDは、アムステルダムを拠点に、サンパウロ、メキシコ・シティ、デリー、ナイロビ、東京にネットワークを持つ国際的なデザイン・プラットフォーム。地球規模の課題解決に寄与する世界のクリエイティブ・コミュニティを支援することをミッションに、デザイン会議やコンペティションを開催している。

同時期にでオランダで開催されていた園芸エクスポ「フロリアード」からのインサイトに続き(前編記事)、このイベントでの気づきをレポートする。

デザインという名の楽観論


WDCDの共同創業者は、デザイナーのリチャード・ファンデルラーケン(Richard Van Der Laken)とペパイン・ズーバーグ(Pepijn Zurburg)。彼らはビジュアル・デザイン会社「De Designpolitie」、グラフィック・デザイン集団「Gorilla」の共同創業者でもある。

今年のライブイベントのテーマは「楽観論への呼びかけ(Call for optimism)」だった。新型コロナウイルスのパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻、そして気候変動の問題と世界情勢は決して明るくない。だからこそ、あえて楽観論を呼びかける必要があるのだとファンデルラーケンは考える。

「こういったイベントは、人々を啓発するようなビジョンが必要。デザインとは、常によりよいものを目指し、解決策を提示する存在という意味において、本来的に楽観的なものだ」


WDCDの共同創業者であるリチャード・ファンデルラーケン(Richard Van Der Laken)

過去10年以上にわたってWDCDを運営し、積み上げてきた実績にも手応えを感じているようだ。

例えば、社会課題を解決するクリエイティブ・スタートアップを支援するプログラムでは、これまでに55のスタートアップを支援。そのうちの8割が存続しており、総額2000万ユーロの資金調達を達成してるという。約半分の会社が創業5年以内に廃業になるという米国の統計データと比較しても、WDCDのプログラムは結果を出しているといえる。

一方、オランダのデザイン業界においては、「WDCDはまだ小さい存在である」とファンデルラーケン。パブリックセクターとの連携、政策提言といった分野での貢献は、まだこれからと認識している。

文=MAKI NAKATA

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