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コロナ禍をきっかけとしたリモート化の波は、多くの企業が取り入れていた上司と部下の1on1ミーティングにも波及し、ハイブリッドワークとなっても円滑なコミュニケーションを行うためのツールが求められている。それに対する回答が「Kakeai」である。


大企業の80%が推進している人材育成のための上司と部下の1on1(1対1)ミーティング。ほかの業務と同様、コロナ禍を経たことで、対面は難しくなり、ビデオ会議ツールなどで行うこともしばしばだ。KAKEAI代表取締役社長兼CEO 本田英貴(以下、本田)は、現状をこう分析する。

「多くの企業はいま、上司と部下のコミュニケーション不全という課題に直面しています。多くの管理職が、モニター越しに部下の状況や感情を把握することに苦心しています。部下もまた、本音を言いにくい状況に、強いストレスを感じています」

ではそうしたリモート時代・ハイブリッドワーク時代の意思疎通の問題は、どのように解決するべきなのか。

その回答として注目を集めているのが、HRテクノロジー関連アワードを多数受賞し、ニューヨーク・ロンドン・シンガポール・⾹港などの海外でも利用されている1on1支援クラウドシステム「Kakeai(カケアイ)」だ。この仕組みが、個人の力に頼らず、テクノロジーの力で1on1を成功へと導くのだという。

仕事はこなせているが、個人の本来の力を引き出せていない


本田は、企業が直面している課題は、2つのコンテクストが曖昧になっていることが原因だと説明する。

「上司は、部下の“人(として)のコンテクスト”が見えにくくなりました。以前は何げない会話や出来事に対する反応で理解できた、部下の仕事に対する動機などが把握しにくくなっています。部下は“組織のコンテクスト”が見えにくくなりました。部下もまた、上司の日ごろの会話や様子から、組織の流れやビジネスの道筋といった企業の文脈を、自然と吸収できていたからです」

曖昧さの影響は、短期的には業務効率の低下程度だが、中長期的に見れば大きな問題につながると本田は指摘する。

「相談にみえる企業の方々も“仕事はこなせているが、個人の本来の力を引き出せていない”ということに課題を感じていらっしゃることが多いですね。こうした曖昧状態の継続は、社員のロイヤルティやエンゲージメントを低下させ、離職率の上昇などにもつながるのは当然のことです。そして、個人の本来の力を引き出せない組織や企業は、働く場所として選ばれなくなる。非常に大きな問題です」

1on1を成功に導く本音の対話




本田はかつてリクルートの人事部門で管理職を務め、1on1にも情熱的に取り組んでいた。自負と自信にあふれ、部下を含めた関係者から評価を受ける「360度評価」の実施や運用も人事部門として自らが率先して推進したという。

「自分自身は、当然、部下から高い評価を受けるという確信がありました。しかしふたを開けてみると、『あなたには誰もついていきたくないって知ってます??』という強烈なコメント(無記名)をもらってしまったのです」

1on1で常に本音で語り合えていたと思っていた自分。なぜこうした認識のズレが生まれてしまったのか。本田は落ち込みながらも、理想的な1on1システムを構築しようと奮起したという。

「最終的には現場の上司と部下という個人の力に頼らざるをえないという構造的な問題だという仮説をもちました。研修やごくたまに実施されるサーベイなどではなく、日常的な1on1のシーンそのものを支えなければ解決しないと」

そして本田は、最先端テクノロジーを活用したピープルマネジメント支援クラウドシステム「Kakeai」を生み出したのだ。

本音を話せる、聞ける「Kakeai」という場


実際に「Kakeai」は、どのような1on1環境を実現できるのだろうか。1on1を成功に導く本音の対話

①事前準備
「ポイントは、話し合うトピックと期待する対応(アドバイスが欲しいなど)を、部下があらかじめ設定されているメニューから選択できることです。『キャリアについて話を聞いてほしい』などの選択肢は、“そうしたことも話していいんだ”と、部下の心理的なハードルを下げる効果もあります。同時に、上司にとっては部下が求めていることを把握し、ズレをなくすだけでなく、すぐに本題に入ることができるので時間を有効活用でき、対話の質も向上しやすくなるというメリットがあります」

②ミーティングの実施
「内蔵されているビデオ会議システムを使用するので、ほかのビデオ会議ツールを使用する必要はありません。画面には共同編集可能なメモスペースも付属しています。人事部は、このミーティングについてトピックや上司に期待する対応は把握できるが、メモの内容までは確認できないという仕様にしています。そうした余計な目を気にする必要をなくすことも本音を言いやすい環境をつくるひとつです」

③ミーティング後
「ミーティング後には、部下に対して匿名の“すっきり度”アンケートが実施されます。誰がどう回答したかというデータは上司も人事などのシステム管理者も見ることはできません。その代わり、上司にはAIがまとめた無記名で可視化されたグラフが表示されます。上司はそれによって自分のコミュニケーションレベルを把握します。さらに“苦手分野”や“得意分野”が可視化されることで、『Kakeai』は次回以降のミーティングのテーマに同内容があったときはアラートを表示し、同時に参考になる他企業の管理職の知見をリコメンドします。それにより上司は自身の強みや課題を理解・克服しつつ、かかわり方の向上につなげることができるのです」

偶然だが、この仕組みは面と向かって意見を述べにくく、常にワンクッションを置く日本的コミュニケーションとも親和性がある。仲立ちをするのは「Kakeai」に実装されているAIだ。各個人に自律的な改善を促す効果が、最大の利点なのだという。

企業の導入事例と将来展望


大手企業が続々導入している「Kakeai」。例えばアサヒ飲料や朝日生命保険などは全社で導入し人材育成を加速させているという。

またバングラデシュで創設されノーベル平和賞を受賞した生活困窮者向けマイクロファイナンス「グラミン銀行」の流れを汲む「グラミン日本」は、借り入れユーザーに対して活用し、本音=言いにくいことの把握に役立てているという。

最後に本田は、「KAKEAI」が実現する未来について語った。「すでに私たちは従業員のロイヤルティが低い世界で生き始めています。そのなかで働きたくなる会社であるためには、1on1の上司と部下のような立場や経験に差がある人同士のコミュニケーションをいかによいものにできるかがポイントになるでしょう。すでに海外でも使っていただいています。外国籍の上司・部下のコミュニケーションでも使用されており、国籍に関係なく役立っていると聞きます。ゆくゆくは世界中のコミュニケーション・インフラとして『Kakeai』を育て上げたいですね」


ほんだ・ひでたか◎筑波大学卒。2002年リクルート入社。人事部マネジャーを経験後、スタートアップ数社での役員を経て18年4月に「KAKEAI」を創業、代表取締役社長兼CEOに就任。

Promoted by KAKEAI | text by Ryoichi Shimizu | photographs by Shuji Goto | edit by Akio Takashiro

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