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朝日新聞外交専門記者

岸田文雄首相(Photo by Kiyoshi Ota / Pool/Anadolu Agency via Getty Images)

岸田文雄首相が6月29、30両日にスペイン・マドリードで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席するかどうかで悩んでいる。NATO首脳会議に日本の首相が出席するのは初めて。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、結束した行動を取りたい欧米諸国の間で、NATO加盟国ではない日本や韓国を首脳会議に招待したい声が上がっていた。すでに米国からは、NATO首脳会議の際に日米韓首脳会議を開きたい考えも伝えられている。

各種報道によれば、岸田首相はNATO首脳会議に出席する方向で調整を始めたという。だが、自民党関係者によれば、岸田首相はなお、悩んでいるという。すでに政府与党内が「6月22日公示、7月10日投開票」で参院選を行う方向で動き出しているからだ。岸田首相は6月26日から28日までドイツで行われる主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席する。「日本が頼れる多国間の枠組みはG7だけ」(外務省幹部)という状況から、G7欠席は考えられないが、G7とNATO首脳会議をハシゴすると、ほぼ1週間、選挙期間中の日本を留守にすることになる。自民党関係者は「総理は、党内から、総裁(岸田首相)はどこにいったんだ、という不満の声が出ることを気にしている」と話す。

ただ、世間では自民党の堅調ぶりが伝えられている。党が春先に行った独自調査によれば、野党で勢いがあるのは、日本維新の会程度だった。党関係者は「2人目の当選が確実とは言えない東京選挙区など、一部を除けば、おおむね悪くない情勢だ」と語る。岸田首相の支持率も、共同通信社が5月21、22両日実施した全国電話世論調査によれば、政権発足最高の61.5%を記録したという。岸田首相が1週間不在だからといって、急激にこの流れが変わるとも思えない。

そもそも、今回のNATO首脳会議は日本にとっても重要な機会と言える。外務省幹部は「総理が出席を渋れば、日本はウクライナ危機を欧州と共有してくれないのか、という声が出る。そうなれば、将来、台湾有事などで日本の安全保障が危機に陥ったとき、欧州諸国に支援を求める力が弱くなる」と話す。日本の安全保障が万全とは言えない今、NATO首脳会議に出席するのが、日本の首相としての務めだろう。

文=牧野愛博

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