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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

西川恭 テルモ取締役 常務経営役員

日本に基盤を置くグローバル企業の「ありかた」のモデルとして、経営的視点から人事戦略・施策を行うテルモ・西川恭が語るCHROの役割とは。


医療機器メーカーのテルモは、海外売上比率が7割、8事業のうち4つが海外に本部拠点を置くグローバル企業。グループ2万8000人のグローバル人事戦略を統括するのがCHRO(チーフヒューマンリソースオフィサー)の西川恭だ。一般的にCHROはCEOのパートナーといわれるが、西川氏自身、欧州を統括する子会社のテルモヨーロッパで社長を務めたことがある。CEO経験があるからこそ見えてきた理想のCHRO像とは、どのようなものか。

──近年、人事戦略を重視する企業が増えてきた。背景は何か。

西川:経営において人事戦略が重要であることは昔から変わらない。名経営者の多くは昭和風にいうと“人たらし”であり、人にいかに力を発揮させるかを考えていた。近年変わったとすれば、人の問題をオープンかつオフィシャルに話すようになったことではないか。

──CHROの役割は何か。

西川:気持ちは経営者だ。CEOと同じ景色を見ることはできないが、CEOと同時期に同じ速度で──理想を言えば半歩先、一歩先を行って──、事業戦略と人事戦略を同期させる役割をもっている。

──ヨーロッパ子会社の社長を務めた経験がある。CHROのような右腕はいたか。

西川:テルモは海外子会社トップをディビジョンプレジデントではなくCEOと位置づけている。私が欧州に行ったときは数百人のリストラが必要な局面で、残った人たちの気持ちをどう盛り上げていくのかという課題に直面していた。後ろに誰もいないポジションで責任の重さを感じたが、2年かけて人事ヘッドにふさわしい人を探して、いい人に巡り合い、助けてもらいながら課題に当たった。

その経験から言えるのは、CEOとCHROには強い信頼関係が必要だということ。経営者は「この人に言われるなら納得だ」と思える存在を側に置くべき。一方、CHROも信頼される存在にならないといけない。

──テルモとしてグローバル人事にどのような課題があったか。

西川:テルモのグローバル経営は、各社に大きな裁量を与える分権型。人事もそうで、いまもそれがワークしている。ただ、ヨーロッパ時代、米系競合から来た優秀な人が、活躍後に転職するケースがあった。テルモにはグローバルポジションがなく、結果を出しても次のステップがなかったからだ。これでは将来強くならないと進言したら、「戻ってCHROとしてグローバル人事をやれ」と拝命した。

CHROに就任してからの取り組みをひとつあげると、本社の常務以上を全員集めて「グローバル人材会議」を開いた。この会議では、グローバルリーダー候補28人について、強みや弱み、本人の希望などを一人ひとりレビューする。経営陣からはいままでブラックボックスになっていたグローバル人材を可視化でき、一方で、グローバルリーダー候補は自分の可能性を把握できる。レビュー対象者は、時間をかけて300人まで増やすつもりだ。

文=村上 敬 写真=ヤン ブース

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