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リセ・ペイプ|Walk With Path CEO

金融、ファッション、人間生物学……異分野に挑戦し続けて見つけた「信念」。パーキンソン病の父のためにつくった、歩行補助装置を世界で販売する。


7年前にロンドンでWalk With Pathを起業したリセ・ペイプ(Lise Pape)(40)の歩んだ道のりはまっすぐではなかった。

デンマーク生まれの彼女は、大学進学とともに渡英。ロンドンの大学で人間生物学を専攻、医療の道を考えていたが、向いていないと断念。広告会社、金融機関を経て、デンマーク大使館の外資誘致部門で働きつつ、金融以外に挑戦したいと夜間にファッションデザインのコースを履修した。その後、イノベーション・デザイン工学の修士号を取得。

「何をしたいか明確に定まっていなくて、科学と『何かクリエイティブなもの』の間で揺れ動きながら、2つを融合したいと考えていました」

転機は、大学院在学中に父親がパーキンソン病を患ったことだった。神経性の難病で、何年もかけてゆっくりと運動障害が進行する。父親が特に困っていたのが、「すくみ」と呼ばれる症状で、踏み出すタイミングがわからなってしまう。

「パーキンソン病にはたくさんの治療薬が開発されていますが、強い副作用を引き起こす薬も多いです。ユーザーと一緒に副作用がない新しいソリューションを開発できないかと考えました。それが私のやりたいことにぴったりでした」

できたのはレーザーポインタを使った小型の機械。靴に装着すると、足を踏み出すタイミングと位置をレーザーの線で示してくれる。商品化され、世界中のユーザーから感謝の言葉が届くのがやりがいになっている。

起業して最初の2年は十分な資金がなく、1日10ポンド(約1600円)で暮らした。安定した生活を失い、コーヒーを買うのもためらうようになった。

「友人と食事にいけなかったし、プレッシャーも大きかった。でもリスクをとったから、素晴らしい結果につながった。ダメだったらまた仕事を探せばいい。重要なのは、明確な計画を立てて、現実的に考えること。そして、信念をもって取り組めるものを見つけること。何歳でもいい。信じられるものを見つけたとき、力は発揮できます」

文=成相通子 写真=ディヴィッド・シュヴァイガー

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