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「3」という数字の重要性


ルービックキューブの各面は3X3=9個の色のついた正方形で構成されており、同書には「3」という数字の重要性について述べられている。

イベントの進行役を務めたジャーナリストの池上彰氏も3という数字の面白さに触れ、「大事なことは3つあります、というとみんな聞いてくれる。6つだと覚えられないし、2つだと物足りない。大事なことは3つです、と言って何をいうかを考えると、自分の頭の中も整理され、説明がわかりやすくなってくる」と話した。


ジャーナリストの池上彰氏。書籍『四角六面』を手に

現在77歳のルービック氏はハンガリー・ブタペストで生まれ、ずっとハンガリーで暮らしているが、今回の著書は英語で書いたという。

翻訳を担当した久保陽子氏によると、英語ネイティブではない人が書いた英語の文章なので、ネイティブであれば使わないようなたどたどしい感じがある部分もあったが、そこがうまく反映されるように日本語に訳すように務めたという。この翻訳の妙か、『四角六面』を読むと、ルービック氏自身は、ルービックキューブの成功によって世界的な知名度を得た一方で、社交的ではなく目立つことを好まないが、知的な活動刺激、思索を好むことが伝わってくる。

また、ルービックキューブは個人や仲間で楽しむだけでなく、世界ルービックキューブ選手権大会が行われている。会場にも日本人で世界チャンピオンの伏見有史氏と大村周平氏が駆けつけ、とくに伏見氏は「左手のみ」で全面を13秒40でそろえる見事な実技で記者陣を沸かせた。


会場には2011年片手部門世界チャンピオン伏見有史氏、2009年4×4×4部門世界チャンピオンの大村周平氏も駆けつけ、実演で場内を沸かせた

人生にもいくつもの面、色、要素が──


ルービック氏は今回の東京で行われたイベントには参加できなかったが、「未来の日本の読者の皆さん、こんにちは」という書き出しで、こんなメッセージが寄せられた。

「新型コロナウイルス感染症は、私たちを部屋に閉じ込めました。そしてキューブで遊ぶ時間ができました。キューブは好奇心を刺激し、解けた時は喜びを、解けない時はもどかしさを感じます。これらの知的な挑戦は、いつか私たちが地球温暖化、感染症、戦争のような大きな問題に対峙する時に、助けとなると信じています。解決策を見つけられるかどうかは、私たち次第です。

キューブと同じように、人生にもいくつもの面、色、要素があります。キューブはすべての面を揃えたら終わりではありません。それらはスタート地点にすぎないのです。挑戦するたびに新しい発見があり、新たな挑戦があらわれてきます。まるでどこからでも読み始めることができる、この本のようにね。さあ、お手軽にどうぞ!」

まだ部分的に在宅勤務や家でのアクティビティが続く今年、昔一度は触ったことがあるルービックキューブと出合い直して頭と手の体操を楽しみ、『四角六面』を読んで、その生い立ちと、そして自らの人生にも思いを馳せてみては。


『四角六面』(エルノー・ルービック著、久保陽子訳、光文社刊)



高以良潤子◎ライター、翻訳者、ジャーナリスト、外資系企業プログラムマネジャー。シンガポールでの通信社記者経験、世界のビジネスリーダーへの取材実績あり。2015年より米国系大手EC企業勤務。インストラクショナルデザイナーを務めたのち、現在はプログラムマネジャーとして、31カ国語で展開するウェブサイトの言語品質を統括する。

文=高以良潤子 編集=石井節子

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