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投資の世界でもESGが重視されるようになってきているが、物流施設を主な投資対象としてサステナビリティを積極的に推進しているのが三菱地所物流リート投資法人(MEL、証券コード3481)だ。

三菱地所投資顧問(MJIA)執行役員物流リート部長の髙梨憲にその取組みを聞いた。



MELは、三菱地所をスポンサーとし、同社の100%子会社であるMJIAを資産運用会社とする不動産投資信託(REIT)だ。物流施設を主な投資対象とし、2017年9月に東京証券取引所に上場した。

三菱地所のノウハウを生かした物件取得能力が強みで、同社開発物件とMJIAが探索した物件を取得する“ハイブリッド型外部成長”で運用を進めている。MJIA執行役員物流リート部長の髙梨憲は物流特化型REITの魅力をこう語る。

「物流施設の魅力は、安定した賃料収入です。景気の変動が賃料に与える影響がオフィスビルなどのように大きくないので、長期的に安定した賃料が期待できます」

近年は、新型コロナウイルスの感染拡大によってもたらされた巣ごもり消費や非接触の消費行動によってECの利用が拡大し、配送効率の高い物流施設の需要が急増している。日本は、欧米と比べるとECの浸透率がまだ低いため、今後の物流施設の伸びしろは大きい。そうした社会の要請に応えていきたいと髙梨は意気込む。

「MELは物流施設事業を取り巻く環境変化に適応しつつ、日本の物流プラットフォームの一翼を担い、人々の生活を支える物流機能の発展に貢献していきます」


ESGへの取組みは上場投資法人としての社会的責任と考えています。(髙梨)

保有物件の80%超に太陽光パネル設置


MJIAが投資を呼び込むうえで特に重視しているのはESGだ。

「物流に限った話ではありませんが、REITは、投資家から集めた資金で物件を購入して運用し、それを分配する仕組みです。正確で有用性の高い情報が見えなければ投資家は投資判断ができないため、透明性の高い開示が強く求められます。そうしたこともあり、ESGに対しても早くから取り組んできました。私たちの社会的責任が投資家から問われているのです」

具体的には、MELが保有する物流施設の環境負荷軽減を推進してきた。LED照明の導入や屋上への太陽光パネルの設置、節水型トイレの設置、廃棄物のリサイクル率の向上、オフィスビルで使用していたOAフロアパネルの再利用など、取組みは多岐にわたる。太陽光パネルの設置に関しては、すでに保有物件の80%(※)を超えているという。

ESGの「S」に関する貢献としては、まず物流施設が建設されることで生まれる新たな雇用の創出が挙げられる。そのうえで、MELが重視しているのが、労働者の働きやすさだ。昨今、物流施設の供給が増加しているが、テナントが物流施設を選ぶ際、従業員を確保しやすいかどうかが主要な判断基準となっている。働く人への魅力を高めるため、施設内の休憩室の改修、売店やシャワー室の設置などを進めている。

ESGの「G」に関する貢献としては、三菱地所およびMJIAの役職員を対象とした投資口累積投資制度を21年3月に導入した。運用者側もMELの投資口を保有することで、投資家との利害を一致させガバナンスを向上させることを目的としている。

ESGの推進体制としては、MJIAは19年2月、サステナビリティの向上や投資主の価値向上に全社的に取り組むため、サステナビリティ委員会を発足させた。さらに今年になって「サステナビリティ委員会規程」を制定し、同委員会を正式会議体に引き上げている。サステナビリティ推進体制の高度化と明確化が狙いだ。

こうした取組みが評価され、「GRESBリアルエステイト評価」において、MELは20年、21年と2年連続で最高位の「5 Stars」を取得した。GRESBは、欧州の年金基金グループが創設した不動産会社・運用機関のサステナビリティ配慮を測るベンチマークで、主要機関投資家が投資先選定などに活用する重要な指標だ。

2030年度までにCO2排出原単位の30%削減を目指す


MELは、22年3月に実施した第5回となる公募増資によって新たに約458億円の物件を取得。資産規模は約2,162億円となり、上場時の資産規模目標である2,000億円を達成した。その資金調達には、環境対策への取組みに特化した資金を調達するための債券や借入であるグリーンファイナンスや新投資口発行(グリーンエクイティ・オファリング)を活用している。髙梨はその狙いを説明する。

「今回取得した2物件は、非常に環境性能の高い物件で、MELが定める適格クライテリア(評価基準)に適合していました。そのため、調達するローンの一部やエクイティについて、グリーンファイナンスとグリーンエクイティ・オファリングを利用して調達することにしました。その結果、私たちの環境に対する取組みを投資家の皆様に広くアピールできたと考えています」

欧州を中心に投資家のESGへの関心は非常に高く、最近では気候変動問題に関する企業の情報開示の枠組みである「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」が特に注目を集めている。東京証券取引所の新市場区分「プライム市場」の上場企業には、TCFD情報の開示が求められている。MJIAは、21年12月にTCFD提言への賛同を表明した。

「MJIAでは気候変動への対応をマテリアリティ(重要課題)のなかでも最重要と位置付けています。気候変動に関するリスクや機会が事業に影響を与えるものであるとあらためて認識するとともに、いっそうの情報開示を推進していきます。また、削減目標をKPI(重要業績評価指標)で示すことで、具体的な取組みを推進していきます」(髙梨)

MELでは、30年度までにCO2排出原単位を17年度比で30%削減、エネルギー消費原単位を同15%削減といった高い目標を掲げている。

また、複数の物件において「RE100」(事業使用電力の100%再生エネルギー化にコミットする企業協働イニシアチブ)に適合する再生可能エネルギー電力に切り替える予定だ。さらに通常の修繕計画に加え、省エネ改修工事や設備更新を追加することで、現行の省エネ基準達成への努力目標を上回る削減幅を見込んでいる。

髙梨が目指すのは投資を通じて社会を変えていくことだ。

「CO2や温室効果ガスの削減が進まなければ、社会が成り立たなくなることは明白です。地球上のすべての人が行動しなければならないいま、私たちもその一員として保有している物件の環境性能を高め、MELのサステナビリティを高めていきます。それによってより環境性能の高い施設が選好されるようになり、究極的にはパリ協定で定められた産業革命以前からの世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるという目標の実現に貢献していきたいです」

※保有物件全体の延床面積に対する、太陽光パネルが設置されている保有物件の延床面積の割合。






太陽光パネルを設置した物流施設の例(上/ロジクロス習志野)、MELが新たに取得したロジポート川崎ベイ(中)とロジクロス厚木Ⅱ(下)。いずれも第三者機関のクライテリア(評価基準)に適合する高い環境性能を有する。

三菱地所物流リート投資法人
https://mel-reit.co.jp



たかなし・けん
◎三菱地所投資顧問(MJIA)執行役員物流リート部長。1997年三菱地所入社。三菱地所ニューヨーク社、ロックフェラーグループインターナショナル社、三菱地所海外業務企画部ユニットリーダーなどを経て2021年4月より現職。

Promoted by 三菱地所物流リート投資法人|text by Fumihiko Ohashi|photographs by Shuji Goto|edit by Akio Takashiro

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