SDGsを活用した「発信型三方良し」ビジネスを探る

グループCSuO執行役の下川亮子氏

SDGsを企業経営に取り込む「SDGs経営」。これを実践するうえで重要になるのは、あらゆるレベルでの社会的責任に関する組織全体の「意識の向上」と、社会的責任を実施するための「力量(コンピテンシー=Competency)」だ。

この「力量」とは、ステークホルダーが当該企業の社会的責任に関する知識や理解を深め、必要に応じて技能の強化や開発をし、高めていくもの。2010年にCSR(企業の社会的責任)の世界標準である『組織の社会的責任の手引き』(ISO26000)で発表されて以来、重視されてきた考え方だ。

そんな力量のある企業が、本気でSDGs経営に取り組むとどうなるのか。今回はSOMPOホールディングス(以下SOMPO)の事例をもとに、ヒントを探る。

SDGs経営はパーパスの策定から


2021年5月に発表した新しい中期経営計画(2021~2023年度)で、「SDGs経営」へと舵を切ったSOMPO。近年は中核事業である「保険」の枠組みを超えて、介護やデジタル事業などで、社会課題の解決を目指している。

2021年8月には、「グループ・チーフ・サステナビリティ・オフィサー(グループCSuO)」を設置し、SDGs経営の推進体制を強化した。

このグループCSuO執行役に就任したのが下川亮子氏だ。下川氏はゴールドマン・サックス証券、日本マクドナルドなどを経て、2016年にSOMPOひまわり生命に入社。人事・総務の責任者として、健康経営やダイバーシティの推進も担当してきた幅広い経験と実績を有するキーパーソンだ。

グループCSuOとしてまず行ったのがパーパス(企業の存在意義)の浸透だ。コロナ禍で社会的な価値観に大きな変化が訪れるなか、企業の存在意義を見つめ直すことが重要と考え策定された、SOMPOのパーパス「”安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」の浸透に取り組んだ。

「安心・安全・健康のテーマパーク」とは、SOMPOグループが2016年に発表した中期経営計画(2016~2020年度)で掲げた「グループの目指す姿」でもある。まさかのときに備えるだけでなく、できるだけ現在の幸せを長続きさせ、できればさらに幸せになるようにお手伝いをする、という考えだ。同グループではこれを「テーマパーク構想」と呼んでいる。

「SDGs経営は、パーパス実現に向けた取り組みを推進するための仕組みであり、“テーマパーク構想”を具体化するためのマネジメントそのものです」(下川氏)

パーパスを策定する際に重視したのは、あらゆるグループ会社の従業員一人ひとりが自分ごととして誇りに感じ、取り組んでいける文言にすることだっという。そして、「自分ごと化」のために、まず自分自身のパーパスを持ち、その上で会社のパーパスと重ねていくため、社員に対して自分の人生のミッションを言語化して作成する「MYパーパス」という取り組みなども行っている。

文=笹谷秀光

サステナブル
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