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Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は4月号(2月25日発売)より、「SLEEPY BEAR」をご紹介。芳醇なバニラのような香り。口に含めばサツマイモの甘やかさしっかり感じさせる濃厚でなめらかな味わいの1本だ。


夜、ベッドに入る前にウイスキーなどの蒸留酒をほんの1杯、いや2杯。仕事や日常の些事で高ぶった心を静め、ほろ酔いのうちに眠る心地よさは誰しもが知るところだろう。この寝酒を英語ではナイトキャップというが、薩摩の言葉では「だれやめ」というのだそうだ。

だれ=疲れをやめる、つまり心身の疲れをとってくれる一杯というわけで、多くの鹿児島県人はこの「だれやめ」に焼酎(それも、主にお湯割り)を飲むのだとか。アメリカの子どもたちが眠る前にホットミルクを飲む習慣を思い起こさせて、なんだかほっこりと心温まるようなエピソードではないか。

その「だれやめ」に打ってつけなのが「SLEEPY BEAR」。国内の焼酎蔵元では唯一、自社内に樽工房・樽貯蔵庫をもち、専任の樽職人が常駐する「薩摩酒造」(鹿児島県枕崎市)が自社製の芋焼酎をホワイトオーク樽で22年にわたって長期熟成させたリキュールである。

リキュールというと、なにか甘味料を添加した酒のように誤解されがちだが、中身はれっきとした本格芋焼酎。樽で熟成させることで、オーク材のなかのリグニンやタンニン質などが溶出し、無色透明だった液色が黄~茶色へと変化するのだが、酒税法では焼酎の着色度・吸光度が厳密に定められているため、この美しい琥珀色の液体は焼酎を名乗れないというのが裏話らしい。

「薩摩酒造」では2020年から樽熟成させた「SLEEPY」シリーズを販売しはじめた。麦焼酎ベースの「SLEEPY OWL」に次ぐ第2弾として21年10月に誕生したのが、この「SLEEPY BEAR」。

グラスを顔に近づけると、まず樽由来の芳醇なバニラのような香り。口に含めばサツマイモの甘やかさをしっかり感じさせる濃厚でなめらかな味わい、そして長い余韻……その味わいは、まさに「だれやめ」のひとときにこそふさわしいものだ。

自身も毎晩「だれやめ」しているという「B.B.13 BAR」(鹿児島県鹿児島市)のオーナーバーテンダー山脇源一朗は、この酒を評して「ウイスキーのような深い熟成香と豊かなアロマで、焼酎の概念をくつがえすまったく新しい酒。どっしりと重心が低く、一日を締めくくるにふさわしい一杯になるでしょう」と語ってくれた。この日はストレートで供してくれたが「もちろんお湯割りにしてもおいしいし、ストレートのままお燗にしてもいいでしょうね」とも。温めてなおひきたつ豊かな香りに包まれ、今夜は甘い夢が見られそうだ。

スリーピー ベア



容量 | 720ml
度数 | 34度
価格 | 8500円
問い合わせ | 薩摩酒造 0933-72-1231

photographs by Yuji Kanno | text and edit by Miyako Akiyama

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