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イタリア発「サステナブルな衣食住遊イノベーション」


「土はそれそのものが生態系でもあり、生きています。地球上の全生物種の25%以上が土壌に生息し、私たちが依存する生命維持システムを支えているのです。私たちの足元にある約15cmの土は、食料安全保障と生物多様性に大きく貢献し、気候変動による脅威を食い止める手段にもなり得えるのです。それにも関わらず毎年、240億トンの肥沃な土壌が浸食によって失われていると推定されています。

これは、地球上のすべての人が毎年3.4トンを失っていることになります。土壌は4000億トン以上の炭素を貯蔵している計算です。土壌がなければ、世界の人口を養うために必要な植物や動物のほとんど全てが存在できません。健全な土壌がなければ、農家は私たちに食料、家畜の飼料、繊維、燃料を提供することができません。

栄養価の高い食べ物が手に入らなければ、あらゆるビジネスにおいて、生産と消費を行う従業員と顧客の双方が欠けることになるのです」

土壌というと農家だけがその大規模な危機に立ち向かう役割と考えがちだが、ドロジュドフスカ氏はそうではないと言う。

「必要な変化を起こすための責任は、特定のステークホルダー、特に農家だけに変革を担う必要はありません。私たちの食糧システムは大規模かつ複雑であり、変革の責任はすべてのステークホルダーが負う必要があるのです」


筆者が運営するGenuine Education Network(GEN)(日本窓口は「GEN Japan」)の「再生型ツーリズム」プログラム(日本国内の栽培漁業センターにて)の様子。海洋環境の持続可能性や、在来・固有種の蕪の生産などを世界各国の参加者が学んでいる

注目される「日本発の協生農法」


再生型農業というのは、有機農業やバイオダイナミック農法のようにその手法が確立されているわけではなく、その土地や環境条件に合わせて再生手法が工夫され適応されるがべきものだが、無農薬・無肥料栽培、不耕起栽培、多品種密植栽培、表土を守るカバークロップの活用などいくつか共通点が見出される。そこで特にドロジュドフスカ氏が注目しているのは日本発の協生農法である。

協生農法は、三重県伊勢市にある「桜自然塾」を主催する大塚隆氏が提唱した理論である。それを、フランスで物理学博士を修めソニーコンピュータサイエンス研究所の研究員として活躍する舩橋真俊博士が見出し、科学的定式化と検証を経て、実践と改良が重ねられた。

現在、世界各地で、農業としてのみならず、都市の食糧主権などの課題へのソリューションとしても期待されている。舩橋博士が代表をつとめるSynecOは協生農法の普及をはじめ「拡張生態系」の構築を支援するソリューションを世界中に提供している。

ドロジュドフスカ氏が、協生農法に今までの日本発の農法との違いを認め、再生型観光業への導入にも大きな可能性を感じた理由には2点あるという。

1つは、世界で実践可能なようにマニュアルを多言語で提供しておりオープンソースであること。2つ目は、科学的に国際学会で認められている点だという。

文=齋藤由佳子 編集=石井節子

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