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イタリア発「サステナブルな衣食住遊イノベーション」

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観光大国イタリアは3月末に非常事態宣言が解除され、観光業は本格的な通常化へ向けた舵が切られた。現在、欧州域外からも自主隔離なしで観光客が入国可能になっており、既にこの4月のイースター休暇の予約は盛況だ。

イタリア旅行観光産業協会Federturismoのジェネラルディレクター、アントニオ・バレッカ氏の発表によると、2020年から2021年にかけての観光業の経済損失額は1500億ユーロを超える。

「コロナ前より観光客60%増」の村も?



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2021年後半から2022年にかけてオックスフォード・エコノミクスと共同で実施した調査では、イタリアの旅行・観光セクター全体では事業者が12.4%減少し、21万5000人の雇用が失われたという。回復は簡単ではないと予想される一方で、南イタリアのプーリア州サルヴェという人口4600人の小さな村ではフランスからの観光客が押し寄せ、コロナ前よりもかえって60%も観光客が増えたという場所もある。

しかしオーバーツーリズムに再び悩まされるのは、どの地域も御免だ。バランスある適切な地域の発展に寄与するツーリズムの未来はどこにあるのか。

「サステナブルでなく再生」が起死回生の分け目


かつて「サステナブル・ツーリズム」がエコツーリズムの代表的な位置にあったが、新たなフロンティアとなっているのは、旅人が地域をより良い状態にするために貢献する「再生型(リジェネラティブ)ツーリズム」だ。サステナビリティは衰退した地域や産業の終わりを先延ばしにするだけだが、地域と旅人へ根本的な活力、生命力を吹き込むような再生型の旅が求められている。

サステナビリティは今までの過剰な供給の削減をしたり、効率を良くするようなことが主だった。しかし再生型ではそもそもの人間と自然、地域との関わり方を抜本的に再構築し、絶え間なく見直しと修正のスパイラルを続けていくことが求められる。

つまり、カーボンフットプリントのように環境負荷を削減することや指標だけではなく、旅をすることで何が新たに生まれたか、例えば地域の生物多様性が増えたなどジェネレート(創出)したものに重きをおくような発想の進化が必要になってくる。

はっきりと新たに観光の復興の兆しを示した地域はこのような再生型のツーリズムに切り替え、経済的合理性だけでなく自然環境の保護や土壌の再生、コミュニティの人々の健康、地域アイデンティティなど総合的な“健全性”を観光業の成功の尺度に取り入れている。

今後成功する観光地の地域資本は、ホテルの豪華さや著名な飲食店よりもコミュニティに移っており、本物の地域住民との関わりなくして観光客の旅の満足度を上げることはますます難しくなってくるだろう。

文=齋藤由佳子 編集=石井節子

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