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SPIC 代表取締役社長 芝田崇行

鎌倉を拠点に提携クリニック、ジム、サロンを運営するほか、未病予防と健康を維持するためのサプリメントの販売などを手がけるスピック。心と身体の健康を、海に出て、ヨットに乗って考えるという芝田崇行代表取締役に、愛艇「スピック号」の上で話を伺った。


女性が活躍する時代を見越しての業種変更


──これまでの職歴と創業に至った経緯について教えてください。

スピックは、父親が創業した会社が前身としてあるのですが、両親は建築家で、もともとは建築設計の会社だったんです。父の代の1970年代は、日本経済が急速に成長していった時代ですから、個人住宅よりも環境や街をつくる都市計画としての案件が多かったようです。

そんななか、とある商店街を計画する案件を引き受けたときに、両親はこれからの時代の消費を担っていくのは女性であり、ゆえに美容健康の分野が伸びるであろうという予測を立てたんです。そして、驚いたことに経営コンサルタントに転身したんですね。そのときに考案したのが、いまの社名となる「スピック」という言葉です。「(Life)Style」「Personal」「Image」「Creator」の頭文字を取った、これからの時代への想いを込めたコンセプトでした。一人ひとりに合わせたパーソナルなスタイル提案や、一人ひとりの具体的なイメージをクリエイトしていく仕事。それが、美容業や医療業だと考えたわけです。

このコンセプトを発表してから、今年でちょうど40年。1982年から社名をスピックに変えて、経営コンサルティングから人材教育、サービスの開発、商品開発、フランチャイズ展開といった事業を幅広く手がけてきました。私は大学卒業後、早々に入社しまして、特にIT分野で経営コンサルティングの解析などに携わったのち、2010年に2代目社長に就任した、というのが大まかな来歴でしょうか。



──提携クリニック、ジム、サロンを擁する鎌倉の本社がデザイン性にも優れた上質な空間となっているのは、長年設計に携わってきた前歴があったからなのですね。

はい。両親の建築に対するこだわりは、家具を含めたインテリアにも反映されているものと思います。建築の世界には「神は細部に宿る」という格言がありますが、まさにそうした美的感覚から、あらゆるデザインは細部に至るまで綿密に検証されたうえでつくられています。



そしてもう一つ大事なのは、空間はそこに人がいて成り立つということ。どんな人が働いていて、どんなサービスを提供するかというところまでを含めて、スピックという企業ブランドとしての透徹した世界観を体現できるように心を配ってきました。

──おっしゃるとおり、その空間に身を置いただけで、受けられる施術やサービスのクオリティもイメージできると感じました。

木や石など、なるべく自然のマテリアル感を大切にしています。そもそも病院やクリニックにいらっしゃる方は、緊張状態にあることが多いですよね。お越しいただいたときに、まず心が落ち着くような空間と質感ということで、和の趣でまとめました。

特にクリニックは「これまでにない形のクリニック」という評価をいただき、海外のドクターがよく視察に来られます。日本の健康観、医療の考え方のマインドに着目した設計で、患者さんが緊張せずに落ち着いて時間を過ごせる環境になっているのではないでしょうか。患者さんに「ただいま」と帰ってきたような気分になっていただける、リラックスしてお立ち寄りいただけるクリニックを目指しています。

──御社にはまた「Lypo-C」というビタミンCサプリがあります。これはどういった商品なのでしょうか?



我々の会社が経営コンサルティングを請け負う主なクライアントとして、多くのクリニックがいらっしゃいます。予防医学や健康増進、アンチエイジング、美容といった分野のクリニックです。健康意識が高く、積極的に自分の身体づくり・健康づくりをしていこうという方々がお客様となります。そうした患者さんを診るクリニックで、2004年くらいから行われるようになってきたのが点滴治療です。日本では、栄養不足になったときの治療方法として捉えられていましたが、海外では栄養素を補給するための健康医療の手段としても浸透しており、それがようやく日本にも伝わってきた、というわけです。

その流れで、ビタミンCを自分でも補うためのサプリメントが海外にはあるのに、日本にはまだない、開発してもらえないだろうか? という話を現場のドクターたちから聞かされたんです。我々の商品開発は、現場に立つドクターやエステティシャン、美容師といったプロフェッショナルの方たちから「こんな商品があったらいいのに」と寄せられる声から始まります。それを基に実際に研究開発して、完成したものを現場で使っていただき、フィードバックをいただいてまた研究開発をする――、というキャッチボールを何度も経て商品として仕上がります。

特にビタミンCに関しては、多めに摂取しても過剰分は尿と共に排泄されると言われており、本当はもっと摂ってもいいのですが、腸で吸収できる量には限りがあります。それを補うために点滴を入れるというのが点滴治療なのですが、米国などで使われている技術として、口から飲んだビタミンを非常に理想的な吸収率で摂取できる「リポソーム」というものがあるのだと、ドクターたちから聞かされました。その技術を用いたサプリメントとして開発したのが、この「Lypo-C」というビタミンCサプリになります。

ビタミンCというのは幾ら口に入れて摂取しても、求めているところに届かないと意味がありません。サプリメントは成分の含有量で見られがちですが、これからの新基準としては実際にどれくらい吸収されたかという点に着目されるようになってきます。「飲む量より届く量」という、まったく新しい価値観です。「Lypo-C」については、しっかり届くエポックメイキングなリポソーム化技術が、多くの方たちから支持されている理由としてあるわけです。

現場のプロフェッショナルの声に応えるものづくり




──市場需要としての、プロの要望に応えて形にした製品ということですね。

そのやり方がスピックの鉄則です。そのようにして最初に世に出した製品はシャンプーでした。美容師さんの抱える問題は、度重なる洗髪によって手肌が荒れてしまうことです。手荒れが原因で、この仕事を諦めなければといけないとなると、それは大きな損失です。毛髪の奥にある地肌を洗うために、シャンプーには強力な洗浄剤が必要とされます。けれどもそこで、手肌に優しい商品を真摯に追求してきたことが、原体験としてありました。

以降も、スピックの商品は一つひとつ現場の声を生かしてつくられています。フィードバックも含めて、現場のプロたちは参加意識をもって使ってくれているので、お客様に対しても熱量をもって提案してくださるという好循環が生まれています。

──求められているものを形にして、その結果、喜びの声となって返ってくると。それは何よりのモチベーションとなりますね。

当社の顧客となるプロフェッショナルの方たちのお仕事は、決して物販がメインではありません。知識と技術を通じて、特別なサービスや施術を提供する手仕事が本業なのです。そうした方々が、自分の仕事の価値を上げたいと願い、それを支援するための武器となる商品を我々がつくるという、表裏一体の関係性があります。そこが、単にものを売るだけのメーカーの商品との品質の違いとなり、信頼の違いとなっているのではないでしょうか。そういう意味でいうと、プロフェッショナルである方たちの事業発展が、我々の提供する商品から得られる信頼によって成り立ちましたとおっしゃっていただけることが、一番嬉しいかもしれませんね。

──スピックが鎌倉を本拠地に選ばれた理由はなんなのでしょうか?



父親の代から、自然にここにいたということなのですが、改めて考えてみると、健康やライフスタイルを発信するためには、やはり東京よりも鎌倉を拠点とする方が適しているのではないでしょうか。山と海に囲まれた環境で、仕事をする我々にとっても心地がいいですし、美や健康、ライフスタイルを考えるためのヒントが周りに幾らでもあります。そして何より私個人も、海から離れては暮らせませんから。

生き方も、仕事の考え方も、みんな海が教えてくれた


──芝田さんには海の男、ヨットマンという別の顔もありますね。

子どもの頃はよく釣りをしましたが、12歳になってヨットに乗り始めたんです。それからはヨット一筋で、大学ではヨット部のキャプテンに。大人になってからもずっと海に出続けています。江の島ヨットクラブの理事を務めていますし、東京オリンピックでは日本セーリング連盟の役員にもなり、自分でヨットに乗るだけでなく、ヨットを通じたスポーツ振興や教育にも携わっています。

──ヨットの魅力、海の魅力とはなんでしょうか?



その魅力はどこまでも深くて、人生そのものを学べます。無論、遊びであり、家族で多くの時間を過ごしてきた余暇の楽しみであり、熱心に取り組んできたスポーツ競技でもあるわけですが、これまでの人生を振り返ってみると、海ほどいろんなことを教えてくれる教室はなかったと思います。生活においても、仕事においても、何か判断が必要なシーンでは、気づかないうちに海に置き換えて考えている自分がいます。自然が相手ですから、自分の意思に反して、例えば凪のときもあれば、風が強すぎるときもある。そうしたなかでどう安全を確保するか、最大限の結果を引き出すかといったこともありますし、自分の肉体面、精神面、両方での戦いがあったりと、すべてにおいて学びを得られるのが海だと思います。

──仕事へのフィードバックという観点でも、お話しいただけますか?



海は自分がこうしたいと考えていても、滅多にその通りにならない。今日はラッキーでも、明日はどうにもならないような風が吹きすさぶ。これは本当にどうしようもないことなんです。そのどうしようもないなかで、どうやってギリギリで合わせていくか。流れにうまく身を任せながら、流れをうまく使いながら、目的をどう達成するかを、生命も懸かっているので真剣に考えて対処するわけです。

実際には状況を読んだつもりでも、うまく行かないことが多い。そんなときでも気持ちを落ち着かせながら、刻々と変わる状況に沿わせていくんです。その結果が思い通りではなくても、海という大自然には勝てませんから、そういうものだと諦めつつも、その経験をポジティブに生かしながら、また次の一手を読む。そんなマインドをもつことで、経営においても失敗に動じない心と、大きな流れのなかで次を読むための素養が養われてきたと感じています。

──仕事におけるポリシーや、意識して努めていることはありますか?

流れに逆らったものがあると、心のなかに何か気持ちの悪いものが残るんです。自然のことだけではなくて、物事にもあるべき順番とか秩序とかいったものがあって、そこから外れてしまうと結果的にうまくいかない気がします。まずは、きちんと秩序を重んじ、順序を立てて考える。物事のあるべき流れに沿って仕事をさせていただいているという謙虚な気持ちに照らし合わせてみて、違和感があることはやらないほうがいい。楽しく仕事をしていくために、また自分たちだけでない、他のいろいろな方たちと一緒にお仕事をするうえで、特に意識しているところです。

──その判断には、海で磨かれた直観力も生きてくると。



そういう意味では、先ほど言った気持ち悪さとか気持ち良さというのがあるのでしょうね。感覚的には「美しさ」になるのでしょうか。実際、美しい船は走るのも速いんです。気持ち良いもの、美しいもののなかには、何かあるべき秩序、正しさというようなものがあるのだと思います。

──スピックは、これからどんなことにチャレンジしていきたいですか?

当社がテーマとしてきた「健康」は、特にコロナ禍が始まった2年前から世界中の人々にとっての最も重要なテーマになったのではないでしょうか。当社は未来の健康をつくることをスローガンに掲げていますが、コロナの経験もあって、病気になってから何をするかではなくて、どうやって感染を防ぐか、どうやって病気にならない健康な身体をつくるかにフォーカスが当たってきたように見ています。

私たちは時代や世界という大きな流れに身を置いて生きていますが、そのなかで自分にとっては何をするのが良いことなのかを、お医者さん任せではなくもっと自分自身で考えられるようになるべきです。

──今日は美しいヨットに乗せていただいての取材ですが、この船についても教えていただけますか?



全長が38フィート(約12m)。定員は10名で、競技用というよりクルージングやレジャー用の船で、名は「スピック号」といいます。デッキが広いのでゆったりくつろいで使えるし、安全性も高い。「ベネトウ」というフランスのブランドです。実は、日本で初めて「ベネトウ」の船に乗ったのがうちの父だったんです。その時の輸入業者さんと、いまもお付き合いしています。

──ご自分で楽しまれるだけではなく、ヨットという海のスポーツの振興のためにも熱心に活動されていますね。

日本セーリング連盟というのが、その名の通り日本でのヨット競技を統括する連盟になります。私は環境委員会に所属していて、セーリングを通じてどうサステナビリティの部分を普及させていくかという取り組みをしています。ヨットは風の力で走るエコな乗り物ですが、さらにそのヨットに乗るセーラーがサステナビリティに対して積極的に行動していくための環境づくりを支援しています。



それから、前のオリンピックでできたのが江の島ヨットクラブです。私は理事を務めていますが、ジュニアからユースまでのジュニアヨットクラブが非常に充実していて、日本で一番大きなジュニア団体です。大人向けのクルーザーのクラブも併存していて、一生を通じてセーリングを楽しむためのお手伝いをしています。

最近は大型艇の団体の活動にも力を入れていて、ヨットレースの規模も大きいのが魅力です。日本で一番古い外洋ヨットレースが「パールレース」と呼ばれるものですが、三重県の五ヶ所湾を出帆してゴールの江の島を目指す、180マイルのコースとなります。今度が63回目のレースになるのですが、実はここ4年間開催できていないんです。2年連続で台風による中止となり、次の年はコロナの影響で中止。去年は東京オリンピックがあったので。今年こそは無事に開催させたく、いま一生懸命準備をしている最中です。私は、本当は自分で参加したいのですが、運営側です。始まると、夜中にゴールする艇もあるので寝る暇もないですね(笑)。



──大変ですが、責任とやりがいがありますね。 

最近はやはり、運営の方が多くなってきましたね。海の上で風を見て、ブイを打って、審判をするようなフィールド上の運営という仕事があるのですが、実はそこに至るまでの陸上での取り仕切りも多いんです。大規模な大会なのでスポンサーも多いですし、運営に携わる方々の寝食を全部用意しなければならないなど、本当に大変ですが、それもいろいろと勉強になりますし、楽しんでやっています。

新たな発見と学びに満ちた「海の体験」を、もっと多くの人と共有したい


──経営者の社交といえばゴルフのイメージがありますが、取引先と一緒に船に乗るというようなこともあるのでしょうか?

そうしたいところですが、各大会の理事や運営で、僕が忙しすぎて。でも、いずれそういう機会をもてたらいいですね。



ヨットというのは、やりたいと思っても初めの敷居が高いですよね。でも実際に海に出てみると、風が強い日があったり、穏やかな日があったり。そんななかでワクワクドキドキしたり、海の上にはこんなに気持ちがいい世界があったんだという発見もある。出る度に、何かしらの新しい発見と学びがあるんです。そんな体験を、これからもっと多くの人たちと共有できたらいいですね。

──そんな芝田さんがForbes JAPAN SALONサロンに入会された理由はなんでしょうか?

日本を代表する企業のTOPの方々、未来を考えつくっていく、各業界の最先端の方々が集うサロンだと思って参加しました。これからの時代における新しい生活や人生の考え方を、これまでの延長線上ではないところで、もっとドライブしていくような可能性がきっとあるものと思っています。そんなことを業種や年齢や文化といった垣根を越えて語り合うことによって、一緒に良い方向にもっていく手伝いができればという期待を抱いています。

──サロンの仲間と一緒に、どんなことに取り組んでみたいですか?

私の場合は本業のほかにヨットや海といった世界がありますが、各界の一流選手である皆さんと共に、やってみたかったけれど、まだ越えられていなかった一歩を自然に楽しく越えるという経験をしていきたいですね。海のことについてはぜひ、少しでもご興味があれば、ぜひお気軽にお声がけいただけたら嬉しいですね。


しばた・たかゆき◎1973年神奈川県生まれ。2010年より、株式会社SPIC代表取締役社長を務める。ヨットをこよなく愛し、自ら海に乗り出すだけでなく、江の島ヨットクラブ理事や東京オリンピック日本セーリング連盟環境委員長を務めるなど、ヨットを通じたマリンスポーツの振興や子どもの教育にも取り組む。

Promoted by Forbes JAPAN SALON / interview & text by Shigekazu Ohno(lefthands) / photographs by Takao Ota

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