世界を目指す「社内発イノベーション」事例

ゲームチェンジャー・カタパルト代表 菊池耕祐

パナソニックは4月1日、ホールディングス制に移行した。パナソニックホールディングス(HD)のもと、持ち株会社制による8つの事業会社が傘下に入る形となった。「パナソニック」の社名は、家電や空調事業を展開していた「くらし事業本部」が引き継いでいる。

その新・パナソニックにおいて、新規事業を担っているのが「ゲームチェンジャー・カタパルト(Game Changer Catapult)」。2016年に発足以降、集まったアイデアは220件以上、事業化検討フェーズのアイデアは40件近くにのぼる。オープンイノベーションよりも、圧倒的に社員の起案による新規事業の割合が多く占めているという。

着実に成果をあげつつも、「最終的には事業に新規も既存もありません」と言い切るゲームチェンジャー・カタパルトの菊池耕祐代表に話を聞いた。


──ゲームチェンジャー・カタパルトについてお聞かせください。

ゲームチェンジャー・カタパルトは、パナソニックが新規事業創出を目的に、2016年に設立したプラットフォームです。

当時、社内で既存事業が難しい局面を迎えている中、会社として変わっていかなくてはならないという背景がありました。もちろんトップの方針もありますが、同時にボトムダウンで自分達が成し遂げたいものを打ち出していくことも必要です。それは、弊社の事業が、生活の中の困りごとを解決していくことにあるからです。同じようにパナソニックのメンバーも何かしら課題を抱えているはず。それを持ち上げていく仕組みが必要ということで立ち上がりました。

事業化するにあたって、ゲームチェンジャー・カタパルトが重要視するのは、顧客起点での価値創出。徹底的にお客様と向き合い、「誰の何を解決するのか」を明確にし、お客様の真の価値を追求していきます。

──アイデアはどの程度事業化に結びついているのでしょうか。

これまで40件近くのアイデアを事業化検討してきました。毎年フェーズ毎にアイデアをフィルタリングし、そこから年間5〜7件がゲームチェンジャー・カタパルトのビジネスコンテストのテーマとして残ります。

そのうち、事業検証のフェーズに進むのが3テーマほど。顧客や社会の課題を捉えて、それをどう解決していけるかまでおおよそ1年間くらい要します。


SXSW2018出展時の顧客フィードバック(パナソニック提供)

社内の声だけで進めようとすると“既存事業フィルター”がかかります。通常の事業目線で見てしまうと、検討が必要なものが増えると見做され、せっかくのアイデアが潰れかねません。そこで、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)といった外部の展示をいくつか活用し、世の中の市場の反応をもって幹部に「こうします」と提案しています。2021年度はその取り組みをもう一歩進めたかたちで実証検証をしました。

アイデアの段階でリスクと言ったら、全てのオープンイノベーションが止まってしまいます。仮に「これは本当に世の中の課題なのか?」を分からないまま発想したとしても、色んな方と話してみたり、有識者の方にドアノックで伺ったりしながら進めています。

文=佐藤奈津紀

パナソニック
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