シネマ未来鏡

『ナイトメア・アリー』/ 2022年3月25日(金)全国公開 / 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン /(c)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

メキシコ出身の映画監督、ギレルモ・デル・トロが「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017年)で、アカデミー賞の監督賞と作品賞に輝いたのは、いまから4年前。作品は美術賞と作曲賞にも選ばれ、第90回では最多4部門受賞の栄誉にも浴した

デル・トロ監督と言えば、それまで、妖精によって迷宮へと導かれる少女を主人公とした「パンズ・ラビリンス」(2006年)や、海底から現れた怪獣と巨大ロボットが闘う「パシフィック・リム」(2013年)など、どちらかといえばファンタジーやSFなどのジャンル作品の監督として受けとめられていた。

しかし、話し言葉を失った女性とアマゾンの神と崇められる「半魚人」との恋愛を描いた「シェイプ・オブ・ウォーター」では、主人公の充たされぬ心のうちと愛のかたちを、習熟した巧みな映像で表現してアカデミー賞を受賞。まさに映画監督として新境地を開いたのだった。

そのデル・トロ監督の「シェイプ・オブ・ウォーター」以来の新作が、今回もアカデミー賞作品賞にノミネートされた「ナイトメア・アリー」だ。作品にはこれまで登場していた妖精や怪獣などの超自然的な異形の存在はなく、デル・トロ監督は、あくまでリアルなサイコサスペンスとして、この物語を描いている。

物語は現実のなかに設定した


時代は第二次世界大戦前夜の1939年、流浪のスタン・カーライル(ブラッドリー・クーパー)は、怪しげな出し物でカーニバルを渡り歩く一座へとたどり着く。スタンは「幽霊ショー」と称して胡散臭い読心術を披露する一座のジーナ(トニ・コレット)を手伝いながら、彼女のパートナーからそのトリックを伝授される。

尾羽打ち枯らした流れ者とはいえ成功への野心を抱き続けるスタンは、全身に電気を流す荒技で人気を集める美しい女性モリー(ルーニー・マーラ)に心を奪われる。「自分と組んで、もっと大きな会場でショーをやろう」と彼女に持ちかけ、2人は一座に警察の手入れが入ったのをきっかけに都会へと旅立つ。

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(c)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

2年後、スタンとモリーは豪華なホテルのステージで読心術のショーを披露していた。自分たちの評判が高まるにつれて、スタンの野望はさらに膨らんでいくが、モリーはそのことに戸惑いを覚えていた。

ある夜、2人のショーのトリックを見破る女性(ケイト・ブランシェット)が現れる。機転を効かせ、その場を取り繕ったスタンだったが、女性から渡された名刺には「リリス・リッター 心理学博士」と書かれていた。

数日後、リリスのオフイスを訪ねたスタンは、自らの手の内を明かし、彼女の知る個人情報を利用して、大金を得るという企みを持ちかける。リリスの「協力」を得て事は順調に進むが、さらなる成功を思い描くスタンは危険な賭けに打って出るのだったが……。

文=稲垣伸寿

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