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京都市在住のフリーランスライター兼編集者

ウェルネストホーム代表取締役社長 芝山さゆり

住宅業界屈指の「高気密・高断熱」を実現したウェルネストホーム。「試住」というユニークなサービスも発案した社長の芝山さゆりに、生活上の“こだわり”や影響を受けた人物について聞いた。


私は専業主婦をしていた36歳のとき、故あって会社を立ち上げました。最初はリーダー育成に携わり、その後はある出会いからハウスメーカーを新たに共同で起業。父から伝授された社名の「ウェルネストホーム(WELLNEST「人間観察ウォッチング」HOME)」は「WELL(良い)」「WELLNESS(健康)」「NEST(巣)」を組み合わせたもので、健康で快適で長持ちする高気密・高断熱の良い家を提供しています。

“家族の健康が続く家”を販売しているくらいなので、私自身も健康には気をつけています。よく「忙しいという言葉は心を亡くすと書く」といわれますが、だからこそ日常的に心を整えることが大事。いまこだわっているのは衣服ですね。普段着だけでなく、寝具や寝間着など直接肌に触れるものは自然素材のものを愛用しています。

「衣食住」という言葉は、なぜ「衣」がいちばん先にくるのか。それは、人がオギャーと生まれて最初に触れるのはおくるみで、次にお母さんのおっぱいを飲んで、最後にベッドに寝かされる、その順番なのです。衣の重要さを意識すると、食も住も自然と気遣うようになる。そうして人は本当に心身ともに健康になっていくのだと私は思います。

生まれ育ったのは三重県です。リカちゃん人形を買ってもらった瞬間に坊主頭にしたり、七五三で着物を着せられても自転車に飛び乗って近所を走り回ったり、遊び相手も男の子たちばかりというやんちゃな子でした。「女らしくしなさい」とか「女の子なの に」と言われるのが嫌だった。そんななか、父親だけはいつでも私を叱らず見守ってくれました。父の口癖は「なんでもできるで」

「とにかく“I can do it!”や」。私が電信柱をのぼっても、「ええとこまでのぼったな。そこから見る景色はどうやの?」と優しく問いかける人でした。

特に思い出深いのは、父から教わった「人間観察ウォッチング」です。3歳のころから月曜と木曜は鮮魚が手に入るということで、幼稚園から帰宅したら近所の百貨店に行くというのが定番でした。母の買い物中、父は百貨店の玄関で私にこう尋ねます。「あの人、何の仕事しとる?」「あの人、どんな性格しとる?」。学生なのか社会人なのか、働いているならサラリーマンか社長、それとも農業や漁業などの従事者か。加えてそれぞれの性格はどうか。それを見極めるためには風貌だけでなく、姿勢や服装など頭の先からつま先に至るまで観察せねばなりません。そうやって私の人を見る目は養われていったのです。

父のこの情操教育は、私のいまのビジネスの礎です。どんな事業でも、それこそ何をつくろうが、何を売ろうが、結局は「人」。人の織りなすもの、そこに込められた想いや願いを、お客様は受け取り、購入してくれるわけです。しかも私には絶対音感があって、人の声から心情を読み解くことができるので、このふたつの特性(人を見る目と絶対音感)を生かし、お客様との本契約の際の電話は私自身が行っています。直接お話を聞くことで、口にした言葉どおりではない、ちょっとした心の綻びにも気づいてあげられますから。 私の社長人生は父のユニークな教育の賜物。感謝しかありません。

構成=堀 香織 写真=yOU(河崎夕子)

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