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ポストラグジュアリー 360度の風景


人文学的に宇宙を語る村木さんはまた、宇宙視点の「民主化」があらたなパラダイムシフトを起こすだろうと予言します。

「コペルニクスが地動説を唱えたのが1543年です。それからずっと科学的合理性が追求されてきた時代が続きましたが、科学オンリーの合理的なモノの見方に限界がきています。いま、不合理や心といった人間の原初的で右脳的なものが見直されています。コペルニクス革命から500年後の2043年には、科学だけではなく、そこに精神的価値の大切さが付与されていく、科学と心の融合の時代が来るのではないでしょうか」


Getty Images

この言葉もまた、インスピレーションに満ちています。技術革新が進めば進むほど、合理化が進めば進むほど、「人間とは何か?」という問いと向き合わざるをえなくなるからです。2043年になる前にすでに、多くの仕事はロボットが担ってくれています。AIが人間に代わって膨大なデータを分析し、答えを出してくれます。プライベートではメタバースでのアバターが自分の代わりに飲み会に出てくれます。となれば、いまここで、生身の人間として生きていることの意味って何なのか?

合理的には説明できない純粋にわくわくする喜び、理屈では説明できないほどの心の動き、つまりロボットやAIやアバターでは不可能な、生身の人間でなくては持ちえない感情や心の動きといった非合理的な要素が、テクノロジーが発達していく近未来にこそますます重要になってくるということです。

ここに新しいラグジュアリーの出番があります。

テクノロジーの恩恵を受けた、包摂性のある社会のなかで、合理的判断を超越し、データ分析の結果すら無意味にしてしまうエモーションや心といった、人間にしか備わらない精神的価値をきめ細かく、かつ破天荒に追求していくロマン主義的な製品やサービスが高く評価されていく時代が到来することが予測できます。

宇宙開発は、科学技術の発達を促すだけでなく、人間の精神のフロンティアを開拓することにもつながっていることを、村木さんのお話から実感しました。

文=安西洋之(前半)、中野香織(後半)

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