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ポストラグジュアリー 360度の風景


村木さんのお話には、視界が一気に開ける爽快感がありました。

「新しい世界観を取り入れて文化をつくる」というラグジュアリーの役割を考えるにあたり、「宇宙」という世界観ほどふさわしいものはないように思えました。村木さんの表現によれば、「宇宙視点主義」ですが、この視点に多くの人が立つことができれば、人間社会の捉え方そのものに一大変動が起きることが予想されます。

スフィリズムとスペーシアン


ソニーと東京大学とJAXAが共同で取り組んでいるプロジェクトは、安西さんがその仕組みを詳しく解説してくださっていますが、「STAR SPHERE(スタースフィア)」と呼ばれます。この「スフィア」という言葉に新しい世界観のカギがあります。多くの人が宇宙から地球を見る目線を獲得することの影響について、村木さんはこのように話します。

「グローバリズムに代わる考え方として、スフィリズム(Spherism、宇宙視点主義)が誕生するのではないかと考えています。グローバリズムとはいわば地球(=グローブ)の地表にへばりついていた閉鎖的な考え方でした。それに対し、スフィリズムは、高さ方向に広がりを持つスフィア(宇宙も含む球・領域)の視点で、地表から浮遊し、宇宙空間に大きな広がりを持つ開放的な考え方です」

ちなみに、スフィリズムとは村木さんが提唱する考え方で、まだ公にはどこにも書かれていません。「宇宙から見た地球を撮影する体験」を通して、高く広い宇宙視点を持てば、多くの人の宇宙観、地球観、人間観、ひいては生命観が根底から変わることがごく当然の帰結として予想されます。


Getty Images

「地上にへばりついたグローバリズムから脱却して、宇宙に暮らす民族スペーシアン(spacian)としての高い視点を獲得できたとき、地上の諸問題への向き合い方が変わるのではないでしょうか?」(村木さん)

スペーシアンという言葉の響きのなんと美しいことか。全ての地球人がスペーシアンとしての宇宙視点をもつようになれば、地表にへばりついたグローバル資本主義がどうしようもなく古くさいものに見え、「もうひとつのあり方」の創造を促される可能性は大いにあります。

現在の行き詰った世界に変わる人間社会を創造するときに、現状の延長上に小手先の改変をしていくよりも、心躍るラグジュアリーとしての宇宙体験の暁に獲得する「スフィリズム」ないし「スペーシアンとしての視点」を持つことが、大きな影響力をもつのではないでしょうか? 地球、ひいては社会を扱う視点のコペルニクス的転換により、新しい世界の創造が導かれる可能性が大いにあります。

文=安西洋之(前半)、中野香織(後半)

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