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左:セーフィー取締役CTO 森本数馬 中央:セーフィー代表取締役社長CEO 佐渡島隆平 右:セーフィー取締役 下崎守朗

クラウド録画サービスの領域でシェア1位を獲得(テクノ・システム・リサーチ調べ)し、弊誌の「日本の起業家ランキング2021」でも同社代表取締役社長 CEOの佐渡島隆平が1位に輝いたセーフィー。

2021年9月に東証マザーズ市場への上場を果たした同社は、佐渡島と取締役の下崎守朗、取締役CTOの森本数馬の3人によって設立された。3人が起業するに至った経緯や未来のことについて語り合った。


プラットフォーマーを志向し結束


−−3人はどのような経緯で起業することになったのでしょうか。

佐渡島隆平(以下、佐渡島):私たちは、ソニーからカーブアウトしたモーションポートレート株式会社に在籍していました。新規事業を立ち上げるチームにいた下崎と私は、色々と話し合うなかで、次第にクラウドカメラに可能性があるのではないかという話になったのです。撮りっぱなしのカメラなら、データが取得できる。そのデータを活用して、賢くなるカメラがつくれたらおもしろいと。

方向性は決まりましたが、実現にはアプリケーションなどの様々なケイパビリティが必要です。どうしようかと考えて、隣に座っていた森本に声をかけました。私たちはクラウドカメラにおけるプラットフォーマーになるという考えで一致していたので、会社を出て起業する道を選びました。

−−会社が成長していくうえでの転機はなんだったのでしょうか。

佐渡島:資産であるファームウェアを複数のカメラメーカーに公開したことだと思います。創業当初のセーフィー対応カメラは、家庭用の「QBiC CLOUD CC-1」だけでしたが、下崎がキヤノン様が買収したアクシスコミュニケーションズ様のカメララインナップにファームウェアを提供しようと考えました。

製品は1機種に限定しスケールする方が美しいし、ビジネスとしてすっきりするという意見もあったのですが、多機種多品目で、多くのニーズに対応できるよう展開するべきだという意見もありました。これについては、かなり侃侃諤諤(かんかんがくがく)と議論しました。

多機種の取り扱いには、在庫管理の課題もありました。アクシスコミュニケーションズ様はスウェーデンの会社で、日本には在庫がほとんどなかったのです。

BtoBにおけるソリューションとしての可能性は広がるかもしれませんが、同時に用途が広がるので、それぞれのお客様にどう使うかのコンサルティング提案も必要になります。

 
セーフィー代表取締役社長CEO 佐渡島隆平

下崎守朗(以下、下崎):1機種や2機種だけのデバイス対応だと、カメラの性能によって、使用場面が限られてしまうため、先が見えてしまいます。うまくいくかはかわからないけど、私は、絶えず可能性のありそうなところにはタネを蒔き、複数のメーカーさんと連携していくべきだと考えました。そうすれば自ずと課題も解決できます。

自分たちだけでやっていると、やりたい目標があっても、それが達成された時点で終わりです。外部と連携することで自分たちの考えていなかったアイデアをいただけますし、想定していないことが起きることもあります。その方がワクワクします。

想定通りにいかないから成長がある


佐渡島:多機種の取り扱いに舵を切った後、ある大型の交通量調査の案件をいただき、カメラの大量設置を行いました。言うはやすしですが、調査となると、万が一カメラの映像が止まったら大変です。また路上にカメラを設置するとなると、作業車を入れるので、その度に道路を規制しなければなりません。

最終的に約30台のカメラを設置し、様々な要因で生じる不具合と格闘しました。ファームウェア、通信、サーバーシステムの場合もあれば、風雪、熱、浸水といった物理的要因もあります。

下崎:想定通りにいかないので、やってみなければわからないということです。やらなければトラブルは起きないのですが、それを解決することで成長することができました。成長のためには一歩踏み出さなければならないのです。その代わり、事前にできる限りのリスクヘッジは講じました。

OTAアップデート(ネットワーク経由のソフトウェアアップデート)で対応できるようにしたり、不具合が起きたら自動的にリブート(再起動)するようにしたり、ログで原因を突き止められるように改良を重ねました。こうしたチャレンジがあったからこそ、主力製品のひとつである「Safie GO(セーフィー ゴー)」を開発し、レンタル展開ができるようになったのです。

 
セーフィー取締役 下崎守朗

佐渡島:Safie GOがヒットしたことによって、建設会社から信頼を得ることができました。そうなれば、さらなるニーズにアジャストした開発ができるようになります。「Safie Pocket2(セーフィー ポケット ツー)」は、機体をコンパクトにし、リアルタイムで動画を見たいというお客様のご要望にお応えして開発した製品です。

私たちの映像インフラは元々、記録した動画をクラウド上に保存しておくことが念頭にあったので、リアルタイム視聴を想定していませんでした。それに対応できるようなインフラに置き換えることで、リアルタイムコミュニケーションを可能にしました。それによって実現できたのが遠隔臨場です。

まず製品を開発し、次にお客様を巻き込んでPoC(概念実証)をする。それで現場の課題を解決できたら商流を構築し、そうしてはじめてお客様に製品を販売することができるようになります。顧客を巻き込み、一緒になって製品づくりに取り組む。するとPoCサイクルがどんどん早くなり、競合が追いつけなくなるのです。

−−開発にはどのような苦労があったのでしょうか。

森本数馬(以下、森本):サービスの特性上、極めて大容量のデータを扱いつつ、システム全体を無停止で運用、機能追加を行わねばならないところに苦労がありました。創業当初はシステムの完成度がまだまだ低かったので、日々発生する様々な問題に素早く対応しつつ、機能改善や新機能追加を既存システム運用と並列で稼働させていくところが大変でした。

下崎:つい最近まで、森本も私もどこに行くにもPCをもっていました。もしシステムに何か起きたら、すぐに対応しなければならないからです。カメラが止まらないことがバリューのひとつですし、防犯のために設置しているのに撮れていなかったら最悪です。

いまは社内に人がどんどん増えているので、責任部門で管理してくれていますが、以前は私たちの手で行っていました。トラブルをゼロにはできないですが、少しでも少なくすることが私たちの使命です。

カメラを賢くして「映像から未来をつくる」世界を実現


−−今後の展望についてお聞かせください。

森本:100万台規模のデバイスも安定してさばけるようにシステムを強化しつつ、基本的な機能の完成度を更に向上させ、サービスとしての高機能、高品質化を図っていきます。

また、既に開始していますがデータを活用し、お客様の課題解決に直結するようなサービスのリリースを加速化していく必要があります。

そのために、効率よく新サービスの開発、運用が実現できるようなシステムの構築を進めています。

 
セーフィー取締役CTO 森本数馬

下崎:私が管轄している部署のキャッチフレーズは、「映像プラットフォームを民主化する」です。私たちは、プラットフォームを構築しましたが、まだまだ使いこなせる人は限られています。

API連携で外部の人が当社のパーツを好きに使えるようにしていますが、おそらく使いこなせるのはエンジニアだけです。最近ではノーコードのプログラミングもありますし、意志を持っている普通の人が活用できるプラットフォームにしていきたいです。

佐渡島:企業のストーリーとしてはスケールさせたことになっていますが、たかだか数万台のカメラが世の中に広がっただけなので、その実感はありません。それが数億台になればスケールしたと思うのかもしれませんが、現状は「映像から未来をつくる」「家から街までデータ化し、人々の意思決定を変えていく」というビジョンの入口に立てたにすぎません。

新規株式公開(IPO)を実現し、ようやくスタートラインに立てたと感じています。これまでの7年間は、やりたいことをやるための土台づくりのプロセスでした。社会に役立つカメラの普及は、これからのフェーズだと思っています。

もともとは「置くだけ簡単、賢くなるカメラ」が製品のキャッチフレーズでした。「置くだけ簡単」は達成できたと思いますが、「賢くなる」はまだ実現できていません。人々が想像する賢さは多様です。

そういった多様性をスマートフォンのアプリのように差し替えることができ、それらが連携していくことで、カメラが賢さを手にする。それによって、当社が掲げる「映像から未来をつくる」世界が実現するのです。




佐渡島隆平◎セーフィー代表取締役社長CEO。甲南大学在学中の1999年にDaigakunote.comを起業。2002年にソニーネットワークコミュニケーションズ入社。モーションポートレートを経て14年10月、森本数馬、下崎守朗と共にセーフィーを創業。

下崎守朗◎セーフィー取締役。東京大学情報理工学系研究科知能機械情報学修了(修士)後の2003年、ソニー木原研究所入社。ザイオソフトなどを経て14年10月、佐渡島隆平、森本数馬と共にセーフィーを創業。

森本数馬◎セーフィー取締役CTO。東京大学工学部応用物理 物理工学科卒業後の2001年にソニー入社。グリー、モーションポートレートを経て14年10月、佐渡島隆平、下崎守朗と共にセーフィーを創業。

Promoted by safie / Text by Fumihiko Ohashi / photographs by Shuji Goto / edit by Akio Takashiro

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