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さらに今回初めて公開した中計で、SDGs達成のKPIを設定して、事業の進捗とSDGsの進捗が連動するかたちにした。例えば、サーキュラーエコノミーの実現であれば、サステナブルパッケージの売上比率を25年度に50%、30年度には100%に引き上げる計画を立てている。9つの注力分野の中には、計算式の完成度はまだ低く、目標値が低すぎたり、世界規模で定量化できていないものもある。走りながらブラッシュアップしていきたい。

──サステナビリティに貢献する事業例は。

ひとつはパッケージビジネスだ。1990年代から、リデュース、リユース、リサイクルのコンセプトでやってきたが、海洋汚染や気候変動が深刻化し、包装材料への関心が世界的に高まってきた。それを受けて、包装素材に単一素材を使用し質の高いリサイクルを実現するモノマテリアルにすることや、プラスチックの使用量を減らす取り組みを進めている。

素材の開発だけではない。いま国内で、リサイカブル材料の包装材を回収する実証実験を始めている。アフリカでは、これからごみが増えていく。そういった地域に、バイオディグレーダブルで土に還る材料を供給すると同時に循環型の仕組みを展開できたら面白い。

──包装材料の主力のひとつであるGLフィルムのモノマテリアル化は進んでいるか。

従来のポリエステル系に加えて、ポリエチレン系やポリプロピレン系で、バリアがありながら単一素材化できるGLフィルムを開発した。すでにアメリカやヨーロッパからの引き合いが強い。アトランタ近郊にフィルム製造工場があったが、これらのバリアフィルムを使用しコンバーティングまでできる会社をM&A(合併・買収)して体制を強化している。

広く普及しなければ貢献できない


──麿社長は90年代、GLフィルムの開発に技術者として携わった。思い入れは強いのではないか。

私が環境に優しい包装材料を開発したいと考えたのは、90年にドイツで行われたインターパック(包装業界の見本市)視察がきっかけだった。個人的に印象に残ったのは小学校での啓蒙教育。コカ・コーラの瓶が「洗って戻せばいいから、傷だらけの瓶を選んだほうが地球に優しい」と教育されていて驚いた。帰国後、世界に追いつきたいと思っていたところに東京本社への異動が決まり、GLフィルムの量産化に取り組んだ。

このとき意識したことが2つある。われわれは環境のために包装材料を薄くしたり減らす方向で開発していたが、パッケージは主な役割を終えるとごみをつくっていることには変わりがない。商品として存続するには、減らしながらも付加価値をつけることが大切だ。

また、いいものをつくっても広く普及しなければ社会に貢献できない。そこで開発後は、包装加工の競合にも販売した。社内から反対の声があがったが、自社だけがもうけるかたちにしていたらマーケットが形成されなかっただろう。そうした戦略が功を奏して、いまは世界中で使っていただいている。サステナブルという意味でも、透明フィルムでは世界をリードすることができたのではないか。

文=村上 敬 写真=ヤン ブース

サステナブル

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